「三反田くん」
新野先生のハーブ園に水やりをしていた時に不意に名前を呼ばれた。普段から名前を呼ばれることなんて悲しいけどあまりないから、内心とてもびっくりして振り向いた
「先輩。どうしました?」
「いやぁ、作兵衛と一緒に方向音痴コンビ探しててね。見なかった?」
そう言う団蔵のお兄さんである加藤先輩はカウボーイみたいに縄を振り回して僕に問いかけてきた。ちょっと危ないけど、同時にかっこよくも見えた
「少なくともこっちには来てませんよ」
「まじか。どこ行ったんだぁ?」
「学園の外に出てるかも知れませんね…」
「まじ!?いやー…数馬くんあのさぁ」
縄を振り回したまま先輩がこっちを向いてにやりとした。まさか僕にも探すように言うんじゃないかと思って身構えると、縄が飛んできて、たちまち体が締め付けられて転びそうになった
「な、何するんですか!」
「いやーかわいい数馬くんを捕まえたくなっちゃってねー」
「ふざけないでください!」
「ごめんごめん。とにかく手伝ってくんない?」
「…人にものを頼む態度ですか」
かなりムカついたのでふてくされながら言うと先輩は“そっか”とにっこり笑ったと思ったら突然縄を引っ張った。その反動で先輩側に倒れそうになったが先輩が抱き締めてくれた
「ちょ、先輩っ!」
「俺、カウボーイになれるかも?」
「何言ってるんですか!」
「いいからいいから」
“黙って言うこと聞けよ”
いつも優しい先輩がそんな事言うなんて、とか抱き締められてるから耳元で言われたからなんかもう腰が砕けて返事をしてしまった
((かっこいいとか思っちゃった…))
end
数馬こんなんで大丈夫?
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