しとしと、しとしと。外を見れば雨が降り続いてる。今日は誰も保健室に来ない。いつもけんかばかりしてる高等部の先輩もぼろっぼろになってしまう委員会も筋トレするっていってし過ぎてしまう違うクラスの友達もいきなり現れる一流スパイのあの人も…誰もやって来ないから暇だなぁ
「お?」
「あ…」
ぼやっと外を見ると息を切らして入ってきた笑顔の眩しい平太の委員会の先輩。話したことなんて数えるほどしかないけれどいつも平太の話に出てきて、あまつさえ破壊神としての通り名があって、知らない人とは思えない人。先輩は入り口を閉めると辺りを注意深く確認して“鶴町くんだけ?”と笑顔で聞いてきた。そんな何気ない仕草に少しどきりとして頷く
「本当?よかったぁ…」
「何か、あったんですか」
「作法委員会と安藤先生に追われててね…」
「すごくスリルー先輩何したんですか?」
「作法委員会は女装の練習台で安藤先生は団蔵を脳筋とばかにしたからうっかりドラゴンスクリューをかけてしまってね」
「作法委員会はいいとして、安藤先生はうっかりじゃすまされないと思います」
「だってぇ…」
言い訳して頬を膨らませる先輩は何だか可愛くて、匿ってる(たぶん)とは言え保健室で2人っきり、そんなシチュエーションはすごくすごくスリル満点だと思う。ちらっと先輩の腕を見ると擦り傷があった。綺麗な白い肌に赤い血。何だかいやらしい感じがした
「先輩、ここ擦り傷。手当してあげます」
「あ、本当だ。さっき兵太夫の罠にかかった時かも」
「…大丈夫でしたか?」
「ぶっ壊して泣かせちゃった」
えへへ、なんて笑ってるけどやっぱり破壊神だ。あの兵太夫の罠を破壊するんだから。そう思いながら治療してると廊下が騒がしい。それにいち早く気がついた先輩はちょっと慌て気味に“もういいよ、ありがとう”と言って僕の頭を撫でた
((意外と手が大きい…))
「鶴町くん!ありがとー俺はいないってね!」
「先輩そこ窓です。外雨だし」
「大丈夫、大丈夫!じゃあね!」
そう言って先輩は窓を飛び越えて外に行った。先輩に大粒の雫が降りかかって先輩を濡らした。平太から聞かされた話のイメージで先輩には太陽が似合うと思っていたし、今日会った時も太陽が入ってきたと思ってた。でも雨に打たれる先輩も綺麗で目が離せなかった
「すごくスリルー…」
しばらくして作法委員会と安藤先生が入ってきたけどそれまでずっと外を見ていた
end
伏木蔵…こんなん?
ちょっと大人っぽすぎたかな?
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