図書室の本の整理中、ふと辺りを見回すと本を枕にして寝ている級友の姿があった。勉強するからと図書室で調べものをすると言っていたのに寝てるなんて、起こしてあげようかと近づけば辺りには課題が散らばっていて、本当に勉強していたんだと思って起こすのを止めた
((それにしてもこんなに熟睡してるの珍しいな))
長い睫毛を指で跳ねたり、頬を突っついても起きる気配はない。いつもはしゃぎ回ってる彼がこんなに静かなのは珍しくて、よっぽど疲れてるんだなって少し笑った。するとうっすらと目が開いて漆黒の瞳が僕を捉えてのそのそと起き上がった
「おはよう」
「おはよ、雷蔵…俺寝てた?」
「うん、ぐっすりとね」
「まじか、ごめーん」
そう言いつついそいそと本や課題で散らかってる周りを片づけ始めた
「課題できたの?」
「うん。けっこー難しかった」
「へー僕は選択してないからこの授業分かんないんだよね」
「面白いよ。多分雷蔵好きだと思う。読解力の問題だし」
そう言って眼鏡をかけてまた本に目を落とした
「眼鏡かけてたっけ?」
「伊達、視力はいいよ」
「だよねーびっくりした。今度は何の本読んでるの?」
「え、これは能勢くんが貸してくれた経済学の本だよ。いつも来るとおすすめの1冊を貸してくれるんよ」
「仲いいんだね」
そうかも、なんて言って本を読む仕草は楽しそうでちょっと妬いちゃう。後輩に妬いてもしょうがないんだけれど、僕だって彼のことが大好きだから
「ねーねー読み終わったらご飯食べに行こうよ」
「良いけど、番しなくていいの?」
「いいよ。もうすぐ終わりだから」
「そっか、じゃあいこっか!」
手を合わせてハイタッチをする。こんなこと出来るのは級友の特権だよね
end
嫉妬しちゃう雷蔵にしたかったのにorz
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