週末のバイトについて考えながら歩いていると、藍色の髪を靡かせて颯爽と歩いてくる人がいた。誰かと思えば、団蔵のお兄さんで耳元のピアスがいつもより大きいせいかキラキラ光ってる
「お、きり丸くんいいところに」
「なんすか、先輩」
「この本返したいんだけど、図書室に誰もいなくてさー…受付やってくんね?」
「…高いっすよ?」
にやりと笑って言えば“この守銭奴め”って額をつつかれた。じんわりと痛みが走り、額を押さえる。見上げた先輩は太陽よりもまぶしい笑顔で“今度好きなものを買ってあげるからお願い、きりちゃん!”なんて言ってきたから思わず顔を伏せた。この人は年上なのに、上級生なのに時々すっごくかわいいから困ってしまう
((先輩がもし女の子だったら世の中男をみんな虜に出来そう…))
そう思いながら、俺はいつもバイトで売り子をするときは先輩をイメージして働いている。先輩は男の人だけどたまにすごくかわいくて、一体何なんだとか思う。こういう性格を【小悪魔】って言うんだろうな…
「きり丸くーん?」
「あ、はい?」
「なんかぼーっとしてたけど大丈夫?図書室の話、忙しいなら別にいいよー雷蔵探して頼むし」
そう言って引き留めてごめんね、と先輩は俺の横を通り過ぎる。団蔵と同じ匂いの他にふわっと香る甘い匂いがした
「せ、せんぱい!」
「およ?」
気がついた時は先輩の腕を掴んでいて、その手は細くて町で見かける女の人と同じくらい白かった
「図書室、一緒に行きましょう」
「あれ、いいの?」
「その代わり週末のバイト手伝ってください。女装して」
「え゙…それはーなんか買うんじゃだめ?」
「いらないっすから手伝ってください」
「…わかったよぅ、するよー」
頭をかきながらしぶしぶ了承した先輩は失敗したかなぁって顔をしている。そんな先輩の手を引いて図書室に向かった。本当は欲しいものがあった。買ってもらおうかなとも考えたけど、いつも団蔵やクラスのみんなに囲まれてる先輩をたまには独り占めしたくて思わず言ってしまった
((週末が少し楽しみだ))
end
きりちゃんのキャラはこれでいいのか?
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