大和田くんとデート

「いくぞ」
「え?」

教室で帰る準備をしていたら突然大和田くんが目の前にやって来て、腕を引っ張った。引っ張られながらずんずん歩く大和田くんを見れば振り返って、あたしの顔を見てすぐ前を向いた
((なんか連行されてるみたい))
なんて思いながらとりあえず大和田くんについて行く。どんどん歩くあたし達はいつの間にか市街地に出た。流石に家と反対方向になってきたし、声をかけようとした瞬間、大和田くんが急に止まった。急に止まるからあたしはおっきな体の大和田くんとごっつんこした。痛い

「おう、悪いな。大丈夫か?」
「鼻ぶつけたぁ」
「悪かったな。ちと待ってろ」

そう言って人混みの中に消える大和田くん。しばらくして戻ってきたと思ったら、手に何かを持っていた

「ほら」
「うぷ」

突然顔に押しつけられたそれを舐めれば生クリームの味。クレープだった

「え、どうして?」
「オメー食べたいっつってただろ」

“クレープなんか買いに行くの初めてで恥ずかしかった”と言う大和田くんになんだか嬉しくて抱きついた

「おいっ、なんだよ!」
「ありがとう。紋土くん。だぁいすき」
「俺の方が好きだ」
「いやいやあたしだってー」
「あぁ!?喧嘩売ってんのか名前!」
「だってあたしの方が好きだもん!真実だもん!」

ぎゅっと抱きしめれば大和田くんも抱きしめ返してくれた。“じゃあ俺の負けでいい”なんて声が聞こえる。ぶっちゃけ紋土くんがいれば勝ち負けなんかどうでもいいんだけれど…

「ほら、せっかく買ったんだから食えよ」
「う、うん!」

その後夢中で買ってくれたクレープにかぶりついて、生クリーム塗れになったあたしを紋土くんは笑ったんだ





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