もぞもぞ。布団の中で何かが動いてびっくりして起きる。恐る恐る動いてるものを見れば名前だった。なんでこいつ俺の部屋に居るんだ…?あ、そーいや昨日泊まるとか言ってたな。なんて思いながらカーテンを開けて名前を起こす
「おい、起きろ名前。朝だぜ?」
「んぅ…和一?」
「おう」
「…おはようのちゅー」
「どわっ!?」
なだれ込むように押し倒されてベッドの中。こいつの寝起きの悪さは心臓に悪いんだよ!ま、まぁ嬉しいけどな…なんて思いながら触れる唇に舌を滑り込ませると、名前は離れていった
「何すんだ」
「お前が俺のエンジンかけたんだろうが」
「簡単にかかんなへんた…い?」
「あ?どうした?」
いつもならここで罵声を浴びせられて悪態つくはずなのに、名前は口をぱくぱくさせている。ま、まさかおばっ…!
「な、なんかいんのかよ!や、止めろよ!霊感ねーだろオメー」
「は?何の話?てかそれギャグ?」
「ギャグなんか言ってねーつか何驚いてんだよ、止めろって…」
「和一気付いてないわけ?」
「は?」
“鏡見ておいで”なんて言われて洗面所に足を運べば、停止。目の前の鏡に映るものに目を疑った
「な、なんだよ、これ…」
頭の上にぴこぴこと動く物体、つーか耳。触れば身震いがした。引っ張ってもとれなくて、背中にはゆらゆらと揺れ動く尻尾のようなものがあって思わず悲鳴を上げた
「あ、おかえりーん」
絶望的な表情で部屋に帰れば名前が俺のバイク雑誌を読んで部屋でくつろいでいる。仮にも彼氏がこんな状態でいるんだから慰めろよ!
「ああああなんだよこれええええ」
「かわいいじゃん」
「触んな!かわいくねー!」
こういうのは女の子がつけるから萌えるんじゃねーのかよ。男の俺がつけてどうすんだ…なんて思っていれば名前が声を上げた
「あー!和一あたしのジュース飲んだでしょ!?」
「ん、ああ、これ?夜中に喉乾いて飲んじまった」
「コーラあるのに…」
「冷蔵庫いくのめんどくさかったんだよ。悪かったな」
「花村くんからもらったジュース…」
「は?花村?」
「うん、昨日花村くんからもらってさー!蜜柑ちゃんと共同して作った栄養ジュースだったの」
“飲みたかったなぁ”なんて言う名前に話のつじつまがあった。つまりだ、俺が昨日飲んだジュースには何らかの薬が仕込まれていて、それを花村はあろう事か名前に飲ませようとしたんだ。つまり下手したら名前が猫化したってことかよ!あいつら…人の彼女をモルモットにしやがって…なんて思っていれば突然背筋が震えた。名前が尻尾を触ったからだ
「ぅあっ…!?」
「…なんて声出してんの。尻尾触っただけじゃん」
「止めろよな。なんかしんねーけど感度いいんだよ」
「へぇー…」
「…オメーなんか考えてんな?」
「ふふふー」
「うわ!」
再び押し倒される体、そして噛まれる猫耳。身震いがした
「ひゃあっ!?お前…な!」
「和一かわいー!」
「遊ぶんじゃねー!」
「いーじゃん」
「何がだよ!」
「普段やられてる分あたしがたっぷりかわいがってあげる」
なんて言って名前は耳や尻尾を触りだす。止めろってまじで我慢できなくなるって…額にキスされた瞬間頭の中の何かがぶつりと切れた。次の瞬間俺は名前を押し倒していた
「え?え?」
「止めろっつったのにオメーが悪いんだからな?」
「う、あ…やめっ…ちょ!盛りのついた猫か!」
「ああそうだな。俺今猫だからなー」
「ふぇっ!?」
「いただきまーす」
その後しばらくして寝て起きたら名前が泣きながら俺にパンチをしてきた。やりすぎたなーなんて頭をかけば、耳は無くなっていた
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