食満家と七松家


アパートを出て少し歩くと七松と乱暴な字で書かれた表札がある。ピンポーンとチャイムを押してしーろーちゃん、なんて呼ぶとどたどたと言う盛大な音がしたと思ったら、ぼろぼろの体の滝夜叉丸さんが出てきた

「おはよう、留季子ちゃん…早いね」
「おはようございます。しろちゃんは…」
「おはよう留季子」

滝夜叉丸さんの影からひょっこり顔を出して挨拶をするしろちゃんはとてもキュート。こんなに可愛くて男の子なんだからおっどろきである

「しろ、頭に何か乗ってるよ」
「あー…パンツだね。朝洗濯物をお父さんがぶちまけたから」
「何してるの朝から…」

とっても騒がしい七松家もうちと同じである理由から父子家庭。このアパートは父子家庭を支援するために町長の大河さんが立てたものだから住んでる住人はみんな訳ありの父子家庭なのだ

「あれ、玄関に集まって何してんの」

ひょっこり顔をだしたのは憧れの三之助先輩で顔を見た瞬間思わず息が止まった
((どうしよう、今日髪とか大丈夫かな…))
手櫛でささっと髪をとかしていると“あれ、作兵衛の妹じゃん”なんて三之助先輩と目が合う
((やばい、かっこいい))

「三之助先輩おはようございます」
「はよ、今日作兵衛は?」
「えと、ゴミ捨てしてて…」
「三之助ー迎えに来たぞー」
「ひゃっ!?」

三之助先輩と楽しくお話しましょ、なんて思ってたのに後ろから急に聞こえた聞き覚えのある声に少々びっくりしながら振り返るとそこにいたのはなんかにやにやしてる作兄で、ちょっとイラっとした

「ちょっと、作兄!いきなり何よ」
「ゴミ捨て終わったから三之助を迎えに来たんだよ」
「は、早かったね」
「…残念だったなー三之助とあんまり話ができなくてー」
「そ、そんなんじゃないんだからねっ!しろちゃんいこっ」

作兄のにやけ顔と三之助先輩の視線に耐えられずしろちゃんを引っ張ってさっさと学校に行くことにした
((こんな気持ちを三之助先輩に知られたらなんかもう耐えれないってゆーかだめってゆーか…))
もやもやする気持ちを隠しながら生活するのも大変だ

「三之助のどこがいいんだ、私の方がずっと素晴らしいのに」
「作兵衛、お前の妹どうしたんだ」
「お前じゃわかんねぇよ、一生」






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