食満家の朝


大河町にある小さなアパート、このアパートに食満家は住んでいる。そんな食満家の朝はあたし、食満留季子の一言により始まる

「朝だよー起きてー」
「んー…留季子ねえちゃん」
「留季子ねえちゃんおはよう」
「おはようおねえちゃん」
「おはよう、喜三太、しんべヱ、平太、ご飯出来てるよ」

一番のちびちゃん達を起こして、となりに寝ているお父さんの顔を見た。すっごい幸せそうな顔をしてるから、多分あたし達の夢を見てる。これは自過剰とかじゃなくてお父さんがすっごい子煩悩だからだ

「留季子、俺の弁当は?」
「あ、起きてたんだ作兄。お弁当今詰めるから待ってて」
「今日は玉子焼きしょっぱくないよな?」
「うるさいなぁ、昨日は塩と砂糖間違えちゃったんですーすいませんねー」

作兄に茶化されながら台所に行ってお弁当を詰める作業をする。今日は玉子焼きに唐揚げ、よくできたと思う

「お、今日は美味そうじゃん」
「今日はって何よ」
「おねえちゃんのごはんいつもおいしいよ」
「あぁ、ありがとうしんべヱ。しんべヱだけだよ、そうやって言ってくれるの」

かわいい弟をぎゅっと抱きしめるとそれを見ていた残りのちびちゃん達が僕もぎゅっとしてほしいーなんて言いながら近づいてくる。本当にかわいい

「何でも良いけど、そろそろ飯食べようぜ?」
「あ、大変…お父さん起こさないと…お兄先にちびちゃん達と食べてて」
「へーい」

作兄に弟達を任せて再び寝室に戻るといまだに夢の中をさまよっているお父さんの姿があった

「お父さん、朝だよ」
「ん、あぁ…おはよう留季子」
「おはよ、ご飯出来てるよ」
「あぁ、分かった」

そう言ってお父さんはのそのそと起き上がる。お母さんが死んでから男手一つであたしたちを育ててくれてるすごく優しいお父さんなんだけど…

「留季子」
「はい?」
「おはようのちゅーはしないのか?」

こういう所があたしはちょっと嫌いだ

「あるわけないじゃん」
「何故だ。昔はいつもしてくれたじゃないか」
「…何年前の話しだと思ってるの」
「しんべヱ達はしてくれるぞ?」

なんで引き下がんないかなぁ?こーゆーとこ本当に嫌い。とりあえず無視を決め込みご飯を食べる準備をすると、今度は作兄に“おはようのちゅーはないのか?”なんて言っている。あぁ、作兄がどん引きしているのが目に入った
((中学生になっておはようのちゅーとかしないよねー恋人か))
そんなことを思いながらご飯の準備をして、みんなで食卓を囲む

「早く食べないと遅刻するな」
「今日は作兄がゴミ当番の日だよ」
「あぁ、そんなことしたら左門達が勝手に出掛けちまうだろ!探すの大変なんだからな」
「左門先輩は無理だけど三之助先輩はあたしがしろちゃん迎えに行くついでに確保してあげるからやってよー」
「お前三之助と話したいだけだろ」
「違うもん!あ、お父さんはちびちゃん達幼稚園に連れて行ってね。これ弁当」
「わかった、2人とも気をつけてな」
「「ごちそうさま」」

2人で声をそろえて、ご飯を食べ終わり準備をして家から出た。いってらっしゃいとお父さんとちびちゃんが手を振る

こうして1日が始まった


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