体型維持?改善?


「留季子」

晴天の中、太陽に向かって伸びていたら、不意に名前を呼ばれて振り向くとしろちゃんがいた。ふわふわの髪は風に靡いている。何の用だろう?なんて思っていたら“留季子あんまり伸びてるとお腹見えるよ”だって。私は慌ててお腹を隠したけど遅かった様で、近くにいたろじに“弛んでるな”って笑われた。

「バカ!ろじのエッチ!」
「はあ?そっちこそ弛んでる腹なんか見せてくんなよな!」
「見ないようにしなさいよ!サイテー!バカバカバカ!」
「…三郎次ってアホだよな」
「俺もそう思う」
「久作も左近もなんだよ!」
「普通女子にそんなこと言わねーぞ」
「コイツは普通じゃな…」
「だから、一言多いんだって。いい加減にしないとマジで留季子に嫌われるぞ」
「うっ」

3人が何を話しているかは分からない。だってしろちゃんが耳塞いでくるんだもん。とにかく、お腹弛んでるって言われたからしばらくは口聞かないんだからね!なんて思いながら体操着姿の自分を見た。…うっ、胸よりお腹が出てるような。それに周りの女の子見ればみんな発育良いのになんであたしは…

「…悲しい」
「留季子?」
「しろちゃん、なんでもない、なんでもないの…」

辛い現実を突きつけられながら先生の笛の合図で集合する。今日は合同体育の日。そろそろ体育祭が近いからその練習なんだけど、普段はクラスごとにしてるからしろちゃんと一緒になることないんだけど、今日は一緒なの。だから5人でいられるの嬉しいなーなんてちょっと思いながら前を見れば同じクラスの3人がいる。なんかさ、いつもは制服姿だから分かんないし、こんなによく見ること無かったけど、みんな逞しくなった?てか背が伸びたよね?それに比べてあたしは貧相だなあ。うっうっ、また悲しくなってきた。

「やっぱり男の子と女の子の違いなのかな…」
「留季子、やっぱり元気ないよ」
「しろちゃん」

心配して隣に来てくれたしろちゃんはここ数年で益々背が伸びた。昔はあんなにチャーミングだったのに。あたしより小さかったのに…。

「しろちゃんのバカ」
「えっ」
「大きくなりやがってコノヤロー!」

こっそりポカポカ殴れば、“ごめんね”って謝ってくる。うっうっ、バカバカ。みんなのバカヤロー。そんなことを思っていれば、走る順番が回ってきたから、今日からしばらくはダイエットと背を伸ばすことを何かしようと思った。多分ダイエットはバカにされるけど、身長伸ばすことなら作兄も協力してくれるはず。だって作兄、最近背丈気にしてるもん。なんて思いながら走った。

「留季子、なんか凹んでるよ」
「…三郎次」
「なんで俺を見るんだ左近!」
「お前が原因だろ。どう見ても」
「無理なダイエットとか始めなきゃいいけど」
「ハッ、あんな幼児体型今更絞ったって」
「お前、本当に絶交されるぞ」
「やだ」
「そのままの留季子が1番可愛いのにね」
「そうだな。優しいし、家事もできるし」
「知識もあるし、面倒見もいいしな」
「…お前らもしかして、留季子のこと」
「あたしが何?」
「ぎゃあ!」

走り終わってみんなのところに行けば、ろじが変な声を上げた。ビックリして私も跳ね上がる。あ、話しかけないんだったなぁ、まあいいや。

「何?何の話?」
「いや、その」
「留季子はそのままが1番だよ」
「え?」

しろちゃんに急にぎゅって抱きしめられる。ビックリするけど落ち着くから抱きしめ返したら、いたずらっぽく笑う左近と久ちゃんが見えた。

「留季子は今のままで充分だよ」
「ああ、今のお前が好きだよ」
「あら、左近が好きとか珍しい」
「いや、普通に好きだし、なあ?」
「俺も」
「久ちゃん、ありがと!」

嬉しくて2人に抱き付けば、ニヤニヤしながら頭を撫でてくれた。なんか小さくてもいいやー!なんて思っていたら、肩をワナワナさせるろじの姿が見えた。

「お、お前ら」
「ろじ?」
「はっ、お、お前みたいなちんちくりんの幼児体型なんか嫌いだ!バーカ!」
「はあ?!何ですって?!」

幼児体型だとー?!人が気にしてることを!今せっかくこのままでいいやとか思ったのに!

「ろじのバーカ!もう口聞かないんだから!」
「あ、ちょ、ま」
「嫌い!」

それだけゆって女子の集団に入る。うっうっ、みんな話聞いてたのか慰めてくれた。余計に心が抉られるけどね。バーカ。ばかろじ!

「…あーあ」
「やっちゃったな」
「しばらく口聞いてもらえないね」
「お前らのせいだ!」


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