笹の葉に願いを


「たーなーばーたーさーらさらー」
「きさんた。ささのはだよー」
「はにゃ?そうだっけ?」
「なんでもいいけどまだー?」

みんなで“天の川を見に行こう”と言うことになって、家族そろってお出かけ。手をつないでいれば道行く人に“仲良しね”なんて言われるのが恥ずかしくてどうしようもなかったけど、慣れた今は何だか誇らしくもある

「しんべヱ、もう少しだよ」
「あ、見えてきたぜ?」

作兄の声に顔を上げれば近くの公園の丘に出た。ここは街を一望できる学生の間でデートスポットとして名高い場所だけど、そんなところに家族できているあたしは本当になんなんだろうなって思いながら作兄を見た

「…彼女と来たかった」
「作兄、彼女いるの?」
「ば、ばばばばか!いねぇよ!」
「何も慌てることないじゃない」

良かった。この反応だと居ないらしい。そうだよね、三之助先輩や左門先輩の面倒見るので忙しいもんね、なんて思いながら空を見上げれば満点の星空が私達を出迎えた

「綺麗…」
「留季子も綺麗だぞ」
「…お父さんそれお母さんに言おうね」

お父さんに言われても嬉しくない、なんて思ってたら、ちびちゃんたちが“おりひめさまとひこぼしさまあえたかな”なんて言い合っていた。だからあたしは3人の頭を順番になでてあげた。するとお父さんが笑顔で“こんなに晴れてるんだ会えたよ”と言った。あたしも胸がほくほくした

「なにしてるかなー!」
「あそんでるよー!」
「おいしいものたべてたりして!」

3人が思い思いの話をしてそれを見て、あたしもお父さんもお兄ちゃんも笑った。すると喜三太が“おかあさんもいっしょだね”と言い出した

「お母さん?」
「まえにねきいたことあるの。おかあさんおほしさまになるんだよって!」
「へいたもきいたことある!おかあさんおほしさまになってへいたみてるって…!」
「しんべヱも!」

“だからおかあさんもいっしょにいるよ”なんて言うから涙が出そうになった。見上げれば無数の星空、そのどれかがお母さんだと思ったら急に安心感が生まれた。頭が重くなったと思ったらお父さんが頭を撫でてくれている。目が少し潤んでいた

「帰ろうか」

お父さんの一声でまたみんなで手をつないで帰った。お母さんにも会えるなんて幸せな1日だった






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