お隣さんの善法寺家


「こんにちはー」

ピンポーンと家のチャイムを鳴らして、扉の前に立つこと数秒、しばらくしてドタバタと足音が聞こえたと思ったら、ボールをかぶり小麦粉だらけの伊作さんが出てきた

「こ、こんにちは…伊作さん」
「いらっしゃい。留季子ちゃん」

“今お好み焼き作ってたんだ”と言う伊作さん。だから小麦粉かかってるんだねと、となりでびっくりしてる平太を見て思っていると後ろからやっぱり白くなってる左近が出てきた

「どうしたんだ、留季子?」
「それ、こっちの台詞でもあるんだけど…」
「散らかってるけど、どうぞー」

伊作さんに言われて部屋にあがろうとするも、部屋の奥は白い煙で全く見えない
((これはまず部屋を掃除する手伝いからしなきゃいけないんじゃないかな?))
なんて思いながら、となりでこほこほ咳き込む平太にハンカチを渡して部屋にあがる。部屋の奥にはやっぱり小麦粉だらけの数馬先輩と乱太郎くんと伏木蔵くんがいた。白いお化けみたいでちょっと怖かったって言うのは内緒…

「とにかく、お掃除しましょう!」

なんて窓を開けようとすると左近に激しく止められる。なんでと思った次の瞬間ボールが飛んできて、窓の近くにいた乱太郎くんに当たってしまった

「いたい、ふぇ…」
「乱太郎、泣かない泣かないっ!あいたっ!」
「伊作さんまで!?」

((は、そう言えば!))
思い出して外を見ればお兄がおちび2人と三之助先輩と左門先輩と野球をしていた

「お兄ちゃーん!」
「おー留季子ー!ボール取ってくれー!」
「野球危ないよー!」
「何でだー?つかお前居るとこ白い煙出てるんだけどー!火事かー!?」
「ここ善法寺さん家ー!」

そう言えばお兄は“だからか”みたいな罰の悪そうな顔をして“わりぃ!”と言ってどこかへ行ってしまった。多分近くの公園に移動してくれたんだと思う。善法寺さん家は何かと不運な運命にある一家で、だいたい何か起こるのだ。お父さんが伊作さんと幼なじみだからあたしも左近と幼なじみであったりするし、しんべヱと乱太郎くんは仲良しだし、平太は今伏木蔵くんと抱き合ってるし(洗濯物が増えるな)お兄も数馬先輩と仲良しだ。だからこんなことは慣れっこだったりする

「今日はどうしたの?」

部屋の片づけをしながら伊作さんに言われて、今日遊びに来た理由を思い出した

「先日風邪引いちゃった時はいろいろお世話になったからお礼に来たんです」
「僕は何もしてないよ。新野先生のお薬だし…」
「でも届けてくださったのは伊作さんだって聞いて…ありがとうございます」

頭を下げると、気にしないでと頭を撫でられた。お父さんとはまた違った暖かさがあって心地よかった。伊作さんは薬剤師さんで新野先生の病院で働いている。病気になるといつもお世話になってるんだ

「持ちつ持たれつ、だよ。僕だって今留季子ちゃんのお世話になってるんだから!」

“気にしないで、ね”なんて笑う伊作さんは優しくてかっこいいなぁなんて思った。その後遊んでたお兄達がやってきてみんなでお好み焼きパーティーをしたんだ





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