「相原律です」
現れた女の子は確かに美人の部類だった
*side 兵太夫
「仲良くするようになー」
呑気な土井先生の声が教室に響く。喜三太の隣の席に座った転入生はすぐには組の連中に囲まれた。ここは男子校。女に飢えてて当たり前だけど、がっつくなんてカッコ悪い。特に団蔵とか
「やべーちょーかわいいー!」
言ってろ、ばか
「みんな鼻の下伸ばしてみっともない」
「でも確かに綺麗だよね」
「げっ、三ちゃんまで何言ってるの!」
「だって隣の女子高生みたいにきつくなさそうだし、なんか鼻につかないし」
「でもなーんか怪しくない?大体女の子がなんで家の学校に…」
ちょっと待て。おかしくないか?家の学校は【男子校】だ。けど転入生は【女の子】どう考えたっておかしすぎる!
((普通隣の女子高に通うだろ))
なんて思っていたら庄左ヱ門が勢い良く手を挙げて“土井センセー”と叫んだ
「なんで男子校なのに女の子が入るんですか?」
「ん?女の子はいないぞ」
「え、相原さんは…」
「俺、女の子だなんて一言も言ってないよ?」
全員がばっと発言者の方を向いた。僕の耳が確かなら今、転入生は“俺”って言った
「え、相原ちゃ、ん…?」
「改めて、相原律、正真正銘男、です!」
ばっとはだけた制服から見えた薄い胸板。びっくりして鼻血を出した団蔵はその後直ぐに真っ白になった。虎若も苦笑いだし、赤くなった金吾はすぐに青い顔をした。脳筋トリオは今日もばーかだ
((アホくさ…))
呆れてため息がでる。特にちょっと期待した自分自身に
prev next