出会って5秒後即失恋



「相原律です」


現れた女の子は確かに美人の部類だった


*side 兵太夫


「仲良くするようになー」


呑気な土井先生の声が教室に響く。喜三太の隣の席に座った転入生はすぐには組の連中に囲まれた。ここは男子校。女に飢えてて当たり前だけど、がっつくなんてカッコ悪い。特に団蔵とか


「やべーちょーかわいいー!」


言ってろ、ばか


「みんな鼻の下伸ばしてみっともない」

「でも確かに綺麗だよね」

「げっ、三ちゃんまで何言ってるの!」

「だって隣の女子高生みたいにきつくなさそうだし、なんか鼻につかないし」

「でもなーんか怪しくない?大体女の子がなんで家の学校に…」


ちょっと待て。おかしくないか?家の学校は【男子校】だ。けど転入生は【女の子】どう考えたっておかしすぎる!

((普通隣の女子高に通うだろ))

なんて思っていたら庄左ヱ門が勢い良く手を挙げて“土井センセー”と叫んだ


「なんで男子校なのに女の子が入るんですか?」

「ん?女の子はいないぞ」

「え、相原さんは…」

「俺、女の子だなんて一言も言ってないよ?」


全員がばっと発言者の方を向いた。僕の耳が確かなら今、転入生は“俺”って言った


「え、相原ちゃ、ん…?」

「改めて、相原律、正真正銘男、です!」


ばっとはだけた制服から見えた薄い胸板。びっくりして鼻血を出した団蔵はその後直ぐに真っ白になった。虎若も苦笑いだし、赤くなった金吾はすぐに青い顔をした。脳筋トリオは今日もばーかだ

((アホくさ…))

呆れてため息がでる。特にちょっと期待した自分自身に






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