溶けたアイスクリーム



正義くんの爆弾発言で軽くパニックになりながらなんとか授業が終わり放課後。集まったのはいつもの面々+正義くん。正義くんは三之助や左門と楽しそうに話している


「ねぇ、数馬…なんで吾妻がいるの?」

「正義く…吾妻くんは作兵衛達の友達みたいなんだ」

「…ふーん」

「いいじゃない大勢の方が」


僕達の会話を聞いていたらしい孫兵が楽しそうに遊ぶ正義くんを見ながら言った。藤内は前から正義くんのことを苦手としてきたから気分が良くないのはしょうがないことなんだけど…

((仲良くしてほしいな))

なんて思うのは贅沢な悩みだろうか。しばらくして左門がアイスクリーム食べたい!と言い出したのでみんなで買うことになった


「アイスクリームねぇ…」

「吾妻くん、どうしたの?」

「正義ね。俺あんまり甘いもん好きじゃないんだよね」

「正義ー!食えー!」

「わぷっ!アイスクリーム押し付けんなばか左門!」

「じゃああーん」

「あーんじゃねえよばか三之助」


3人が再びじゃれているのを見ながら僕も買ったアイスクリームを食べようとした瞬間、躓いて落としてしまった。アイスクリームは地面に落ちて溶けだしていく。あぁ、いつもの不運発動しちゃった。となりで作兵衛が大丈夫かと体を起こしてくれて、藤内が心配してくれた


「アイスクリームまた買えば?」

「もうお金ないし…んっ!」


突然何か口元に押し付けられたと思ったら甘いバニラの味が広がった。何かと思ったらアイスクリームで、正義くんが差し出してる


「俺いらねーから食えよ」

「え、でも…」

「いいから!大体お前口付けただろ?」

「それはそっちが押しつけたんじゃん」


膨れながら言うと正義くんは楽しそうに笑った。あ、こんな顔も出来るんだ…その笑顔と優しさに胸がときめく


「じゃあ、本当にもらっちゃうからね!」

「あぁ」

「…おいしい」

「そうか、あ…数馬付いてるぜ」

「え?」


次の瞬間、正義くんの細い指が一瞬唇に触れて電気が走った


「うん、あめーな」

「な…な、なな…」

「あの吾妻くんって人天然?」

「天然タラシだな」


奥で孫兵と作兵衛がなんか言ってるけど耳に入らない。とにかくびっくりした


「そろそろ帰ろうぜ」

「あっちだー!」

「ちょ、左門動くな!」


迷子組の言葉を皮きりに集団は再び動き出した。最後尾にいるのは僕と正義くん


「アイスクリーム、ありがとう」

「どーいたしまして。ほら、おいてかれっぞ」


そう言って正義くんは僕の手を引いた。繋がってる手が熱い。こんな些細なことで幸せを感じれるのはあなたが好きだからです。どうしたら想いは届きますか?

((好きです、正義くん))





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