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「アンタって本当におバカよね」

ナミに急にそんなことを言われてオレンジジュースが気管に入りそうになった。ある昼下がりの学校。ナミに呼ばれて行った所は、サンジくんが先生に内緒でこっそり学校内で経営しているカフェ。ルフィから噂に聞いてたけれどこんな所にあるなんてーって思いながら案内されて席に着く。“ここは全部サンジくんのおまかせメニューしかないのよ”なんて言われて出されたのがオレンジジュース。普通より美味しいんだけど…。

「マリア、アンタまた無茶して。見てたわよ」
「見られたかー」
「呑気ね…相変わらず」
「マリアちゃんの愛らしい顔に傷が!なんてことだ!ナミさん、救急箱です」
「サンジくんありがと」
「いたた」
「もーマリア!動かない!」
「ナミ心配し過ぎ。放っとけば治るんだから」
「アンタ仮にも女の子なのよ?」

“もっと自分を労りなさい”なんて凸ピンされて返す言葉もない。事の発端は数時間前、何時ものように4人で話してたら知らない女の子達に呼ばれた。すぐに分かった。何を話されるかなんて。案の定、“トラファルガーくんと仲良くして調子乗ってる!”“アンタなんか可愛くないんだから仲良くしないでよ!”“彼女気どり?舐めないで!”なんて色んなことを言われた。別にローとは幼馴染だけど特別な感情なんか無いし、4人で楽しく毎日が過ごせればそれでいいと思ってるし…。まあ、もし、仮に、ローに恋人が出来たらそりゃ寂しいけど、あたしがどうこうしてもしょうがないから、応援の意味を込めて“ローと付き合えたらいいね!”なんて言ったら、今度は“生意気!”とまあ、殴る蹴るの暴行を受けた。それを一部始終見ていたらしいナミが止めてくれて、サンジくんのカフェに連れてこられ、今に至る。

「あそこであんなこと言うなんて本当にバカよね」
「応援しただけなんだけどね」
「嫌味に聞こえるわよ…アレ」
「えー」
「もう、そんなんだから可愛いんだけどね、アンタは」
「ナミに好かれるとか嬉しい」
「バカなこと言ってないで、今日はもう帰りなさい」
「なんで?」
「そんな目立つ傷つけて歩いてたら、ルフィに見つかって問いただされるわよ」
「やだ」
「じゃあ帰りなさい」
「うー」
「唸ってもダメよ」

“アンタが心配なのよ…”なんてナミに抱きしめられたら何も言えない。サンジくんに案内されてカフェから抜け道を通って人気のない路地裏に案内された。学校サボってるのスモーカー先生にばれたらやばいなコレ…。なんて思いながら、サンジくんに見送られてそっと学校を後にする。いつも誰か一緒の通学路だから、誰もいないのが少し怖い。鞄に付いてるベポのぬいぐるみを握り締めて歩いていたら、派手な服の男の人にぶつかった。

「君さあ、痛いんだけど」
「ごめんなさい」
「前見ようね」
「あ、はい」

良かった、優しそうな人だ…なんて思ったのも束の間、“君さあ、女子高生?あそこの学校でしょ?”なんて言われた。

「オレ暇してるんだよねー彼女にデートすっぽかされて。慰謝料の代わりにデート付き合えよ」
「いやー、急いでるんで…」
「は?」
「え…と?」
「テメェに拒否権なんざねぇよ。いいから来い」

肩を掴まれグイグイ連れて行かれて、知らない所にまで来てしまった。ああ、どうしよう、怖い。誰か、誰か…!

「オイ、何してんだ」
「あ?」
「嫌がってる様に見えるんだよな、その子」

振り向けば金色が見えた







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bkm





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