12
「ねぇ、君」
「はい?」

ちょっと早く来すぎた待ち合わせ時間、ぼーっと待ちながら携帯をいじっていれば声をかけられた。見たこともない大人の人だった。

「君かわいいね、高校生かな?」
「はぁ」
「誰かと待ち合わせ?」
「はい、そーですけど…」
「俺もだったんだけど友達にドタキャンされてさ、暇だったんだ」

“良かったら話さない?”と言われて、暇だし話すくらいならいいかなと思って頷いたら、よかったーなんて言いながら肩をつかまれた。正確に言えば抱き寄せられた。なんだなんだと思っていれば“ここじゃあ何だし、お茶しようよ”なんて引っ張られる。困った待ち合わせ場所と離れてしまっている。

「えっとあの、あたし…」
「おい、マリア」
「あ、ルフィ!」

どうしようかと思っていれば目の前に現れた麦わら帽子。ルフィだった。ルフィが現れた瞬間、男の人は罰の悪そうな顔をしていた。

「何やってんだ?てかそいつ誰だ?」
「知らない人」
「知らない人についてったらキッドに怒られるぞ」

そう言ってルフィはあたしの手を握って、ズンズンと男の人から離れていった。

「遅いぞ」

待ち合わせ場所に戻ればローとキッドが居た。不機嫌そうにローが話しかけてくる。キッドは“どこに行ってたんだ”と心配してくれた。流石お母さん。

「誰が母さんだ!」
「本当に何処に行ってたんだお前」
「なんか知らない奴といたぞ」
「マリア、お前またナンパされてたな」
「あれナンパっすか!」
「いい加減気づけ!それと知らない人にはついて行くなっていつも言ってんだろ!」
「やっぱりキッドお母さんだ」
「あんまり怒ると小皺が増えるぞ」
「にしし、母ちゃんか!」

そう言ってみんなで茶化せば、顔を真っ赤にしたキッドがいいから行くぞと言って歩き出した。それにつられてあたしたちも歩き出す。歩いていて思ったことは、街にいる女の子達がみんなあたし達を見ていることだ。正確に言えば、3人を見ている(特にロー)まぁ、3人共にかっこいいもんね、あたしと違って、“一緒にいると霞むわー”とか思っていたら、突然ローが抱き寄せてきた。

「何?」
「視線がうざいからな。協力しろ」
「彼女のフリ?全世界の女性を敵に回すわー」
「俺らが味方なんだからいいだろう」
「…何言い出すの」
「トラ男ばっかりずりぃ!俺もマリアに抱きつきたい!」
「きゃあ!」
「…っと」

突然抱きついてきたルフィに体制を崩して、ローもぐらついた。それを見たキッドが街中で何してんだって顔をしている。ため息までついて、幸せ逃げるぞコノヤロー。

「キッドー助けてよー」
「勝手にしてろバカが」
「マリアいい匂いする」
「相変わらず良い腰だな」
「もールフィは良いとしてロー変態!」
「…何で俺だけ蔑まれてんだよ」
「てめーら置いて行くぞ!」

キッドの声にまた3人で顔を見合わせて“お母さん”と叫んだ。それを聞いてキッドはまた怒った。でもどこか楽しそうだった。やっぱりみんなで居ることは幸せだ。この時間がずっと続けば良いのに…。






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bkm





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