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久しぶりにルフィ達にお弁当を作ってあげたらちょっと寝坊した。急ぎたいけどあんまり走るとお弁当の中身がぐっちゃぐちゃになるから走れない。遅刻確定かなぁ…生活指導のスモーカー先生に怒られちゃうな、なんて思いながら歩いていると、ふいに後ろから名前を呼ぶ声が聞こえた気がした。気のせいかな?なんて思ったけど、気になったから振り向くとそこには手を振ってこっちに向かってくる人影があった。

「マリアちゃん!」
「ポ、ポートガス先輩!?」
「おはよう。ずいぶんゆっくりな登校だなー」
「おはようございます。昨日はルフィ達にお弁当作ってたら遅刻してしまって…先輩こそルフィと一緒じゃないんですか?」
「あいつ?いつも一緒じゃないぜ。今日は珍しく早く起きたからマリアちゃん迎えに行くって言ってたけど」
「え、来てませんよ?」
「じゃあ道草食ってんな。それよりマリアちゃん、遅刻しちゃうじゃねえか。乗る?」
「え…良いんですか?」
「おう。たーだーし!条件がある」
「え…」

乗ろうとした瞬間、ポートガス先輩にそんなことを言われて動きが止まった。どんなことを言われるのだろうかとどきどきしながら先輩の顔を覗き込むとにやりと笑って悪い顔をした。そんな顔もかっこいいのは本当にずるいなぁ。ローだったらただの変態にしかならないのに。

「じょ、条件って…」
「2つある!」
「はい!」
「1つ!ポートガス先輩なんて呼ばないこと。他人行儀っぽくて好きじゃない。2つ!俺にも弁当作ってくれ。ルフィからいつも聞いてるんだ。マリアちゃんの弁当おいしいってなっ」

にっこり笑った先輩は子供っぽくってなんだかかわいかった。かわいさもかっこよさも持つなんて本当にずるい先輩だ。


「わかりました!エース先輩…?」
「よっし!乗っていいぞー」
「はーい」

そう言われて先輩の自転車に乗った。走ると風が吹き抜けてとても気持ちいい。ふと見ると先輩の背中が大きくてなんだか恥ずかしい気持ちになった。いつも一緒にいるルフィ達には持たないようなこの感情は何なんだろうか…。

「それから、マリアちゃん」
「あ、はい」
「…たまにでいいから俺とまた学校一緒に行ってくれないか?」

ちらっとこっちを向いた先輩の顔はなんだか赤かった。

「…先輩、条件2つじゃないです」
「うるせっ。これはお願いだよ」
「…わかりました」

そう言ったら先輩は嬉しそうに笑った。学校まで後少しだ。




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