夕暮れ時の放課後、かつかつと靴を慣らして歩く秘密の部屋。がらっと重い扉を開ければ目の前に広がる夕日と、愛おしい姿
「せんせっ」
「理衣子、待ってたよ」
愛おしい佐助先生は夕日に照らされて眩しくて眩しくて、そんな佐助先生が手を広げてくれたからあたしもその腕の中に飛び込んだ。先生の体温が体中に流れてきて心地いい。学校の人気者である先生を独り占め出来るなんて心底優越感がある
「今日は何しようか?」
「何かしたいの?」
「分かってるくせに…」
頬を膨らませて首筋に腕を絡ませれば、ため息をつく先生。そんな呆れた表情も愛おしくてしょうがなくて、首筋にキスを落とせば頭を小突かれた
「痕付けちゃだーめ」
「痕付けられたらばれちゃうものね」
「そしたらもう会えないよ?」
「いやー!」
「じゃあ付けないの」
「はぁい」
そう、これは秘密の恋愛。高校生と一教師が恋愛中でましてや神聖な校舎でいかがわしいことをしたとなれば問題になるだろう、あたしはばれても良いけれど、先生が学校に入れなくなるし会えなくなる…そんなのは嫌
「理衣子、俺そろそろ行かないと」
「えーもう行くの?今日は何にもしてないじゃーん」
「職員会議があるのー暇じゃないんだから俺様」
「いやー相手してよ!」
「…わがまま言わないの」
ちゅっとリップ音がしたと思ったら“ね?”と顔を近づけて微笑む佐助先生の顔が見えた。今日は先生からキスされた。なんか誤魔化されたように感じるけど、キスしてくれたことは純粋に嬉しかった
「もー今回は許すけど、次は構ってよ?」
「はいはい。じゃあ行くね」
そう言って先生は部屋を出て行く。後ろ姿を見送って、窓際にやってきた。夕日が綺麗。綺麗すぎて悲しくなる
「次は構ってよね…」
じゃないとあたし、死んじゃうから