04
どんどん、きゅっきゅっと体育館の床が鳴る音が響く


「うぉおおおおおおおおお!政宗殿ぉぉぉぉぉぉお!!」

「come on!真田幸村ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


叫び声と共に鳴るのは竹刀が合わさる音、毎日毎日よくもまあ飽きずに戦えれるな、2人は…なんて思いながら遠巻きに見ていた。隣にいる女の子の集団は政宗がいいか、幸村がいいか、なんてきゃっきゃして黄色い声をあげながら見ていた。あたしはそんな女の子みたいなことできない

((それに今日の試合は政宗にとってある意味大事な試合…))

部活前、政宗に呼び出されたと思ったら“俺は今日アイツとdateしたい。勝ったらdateを申し込むぜ”なんて言い出すからびっくりだ。背中を押してあげた矢先、応援したいけど気持ちは複雑で、いつもなら適当に見る試合も目が離せないし、どっちを応援したらいいか分からなかった。勝って欲しいような、負けて欲しいような…


「はぁ、不毛だなぁ」

「なーにが。千夏ちゃん」


1人呟いていれば後ろから声をかけられた。振り向けば佐助だった


「はぁ、めんどくさいのが来た」

「何それ、俺様のことー?」

「そうだよー?」

「疑問系で返さないで。あんまりかわいくないよ」

「ふっざけんな」


なんて佐助とやりとりしていれば幸村の絶叫が聞こえてきた。結果からして負けたらしい。あーあーこれでデートだな、なんて思っていれば、佐助が“いいの?”なんて聞いてくる


「何が?」

「独眼竜の旦那のこと好きなんでしょ?」

「うるさいよ」

「今日やたらと独眼竜の旦那張り切ってたから、きっと勝つと思ってたし、デート、申し込むんでしょ?あの子に」

「…その言葉、そっくりそのまま返すよ。いいわけ?愛しの妹君取られるよ?」

「あの子が引き受けるとは限らないじゃん」

「すごい自信ね、でもきっと受けるよ」


そう言って体育館のステージで話をしている3人を見た。あの表情からして、妹君ちゃんは断れないタイプの人間何じゃないかと思う。てか、政宗がなんでデート申し込むのか分かってない気がするんだよね


「背中押しちゃったしな」


だから応援しなきゃ。そう思って、こっちに向かってくるあの子の横を通って、政宗の所に向かった


「よ、政宗。おめでと」

「Thank you、千夏」

「デート、うまく行くといいね」


その言葉を言ったとき反吐が出そうだった。だけど応援すると決めたのだ、笑わなければ…


「千夏のおかげだ」


笑う政宗に涙が出そうだった



prev next

bkm





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -