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“政宗に好きな人ができた”

慶次の耳打ちであたしはそのことを知った。ずっと昔から一緒にいて、昔からかっこいいとかなんとか言われてモテてた政宗。だけど誰とも付き合うわけもなく、いつもあたし達と一緒にいた。そんな政宗に好きな人ができた


「へー…政宗に好きな人ねぇ」

「相手教えてあげよっか?」

「誰々!?」


なんて反応してみせるけど、正直なところ聞きたくなかった。あの政宗に好きな人、そんな人ができるなんて考えたくなくて、柄にもなく凹んでいる。それに相手なら分かってる。佐助と幸村の妹分のあの子だろう。ちらっとしか見たことないけどかわいくて綺麗な、純粋そうな子だった。あんな綺麗な子を世の中の男は放ってかないだろうなぁなんて思ってた


「まさか政宗があの子をね」

「何!?知ってんじゃんか」

「なんとなく、だよ。政宗が好きそうなタイプだわ」

「千夏!」


不意に呼ばれた方を振り向けば、噂の政宗くんが立っていた


「なぁに政宗ー」

「お前相変わらず怠そうだな」

「それを言いに来ただけかいな」

「いや、昨日借りてたnotebook返しに来たんだ」

「発音素晴らしいね」

「…まぁな」

「ルーさんみたい…」

「うわぁー!千夏ちゃんそれ禁句!」

「えへー」


“かわいく笑ってもだめだよ”なんて慶次が言ってるのを見た後、政宗を見れば青筋が出ていた。おや、怒っていらっしゃる


「…いい度胸だ千夏」

「女子に手を挙げんのかコノヤロー!」

「お前女子とかかわいい存在か?」

「ちょ、酷いんですけど!慶次聞いた!?」

「うるせー!」


正直今傷ついた。あたしは女子じゃないらしい。政宗に女の子として見られてないんだ。昔はそれでもよかったけど、今は…本当に傷つく。だってあたしは政宗が…


「はいはい、そこ2人ケンカしないのー」

「あ、佐助」


やってきた佐助にケンカを止められてますます嫌な顔をする政宗


「猿飛止めんなよ!」

「女の子相手にケンカしてどうすんの」

「こいつは女じゃねぇ」

「ひっどい!」

「確かに千夏ちゃんは男勝りだけど、生物学上は女の子だよ?」

「佐助が一番ひどいよ」


“ごめんごめん”って謝る佐助。感情が籠もってないよ。そんな佐助は“用事があるから”って慌てて教室を出て行った

((妹分のとこ行ったな))

なんて思っていると、政宗が佐助の背中をずっと見送っていた。顔が見えないから分からないけど政宗も同じ事を思ったんだろう

((政宗…))

あたしの恋は実らない


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bkm





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