『やすとも、わたしね…おっきくなってもやすともといっしょにいたいよ』
『アァン?いるンじゃナァイ。だってオメーとおれは“おさななじみ”だからナァ』
『っ…うん!』
目を開ければ、白い天井が見えた。なんつー懐かしい夢見てンだヨ、俺は。体を起こして、少しだけ痛んだ頭を触ろうと手を動かせば、何かに触れた。横を見れば美琴が寝ている。コイツは本当に…
「おい、おいこら。美琴チャン」
「んぁ?なぁに荒北」
「なに人の部屋に勝手に入ってんだヨ」
「荒北と一緒に学校行こうと思って起こしに来たの」
「それで寝てるってどう言うことだヨ」
時計を見ればすでに登校時間は過ぎていた。遅刻確定だ。意味ねぇ…なんて思っていれば、美琴は“あはは。荒北遅刻ね”なんて笑っている。オメーもだよバァカ
「ねぇ、荒北」
「なンだヨ」
「学校、サボっちゃおうよ」
「…ハァ?」
「遊びにいこう!」
笑顔で言う美琴にますます頭が痛い。今日は確かに部活ねぇし、サボってもいいけどナァ…
「ねぇ、荒北」
「アー分かったヨ。サボリでも何でもすればいいンじゃナァイ」
「やったー!じゃあデートだね!」
ベッドから出て服を着替えようとしたら、“デート”と言う単語が聞こえてきて思わず振り向いた。美琴はニコニコしている。そして、“どこに行こうか?”なんて俺の手を掴んだ
「…着替えるから待ってろヨ」
そっと、その手を払えば、“外で待ってるね”なんて、美琴チャンは部屋から出て行った。全く、美琴チャンには本当に参るぜ…
「美琴」
「あれ?荒北制服なの?」
「お前も制服じゃナァイ」
「部活あるの?」
「ねぇヨ」
別にこれといった意味は無い。が、何となく美琴に合わせたかった。返答に困っていれば、美琴は笑顔で俺の腕に絡まってきて“制服デートだね”なんて言うから顔があちぃ…
「…バァカ」
「…何照れてんの?」
「照れてねぇヨ!行くぞ!」
イライラして手を振り払ったのに、美琴は後ろからついてきてすぐに腕を絡めてきた。クッソ、まるでカップルみたいじゃナァイ?まぁ、悪い気はしねぇヨ。アー…俺本当に絆されてンナァ…まぁ、美琴が楽しそうだから良いけどな
bkm