02



チャイムが鳴り響く校内、その音に負けないくらい大きな声が耳に入る


「るせえンだよ美琴」

「荒北、あのね、今日お昼ご飯に買ったパン余ったから食べて」


そう言って差し出されたのはメロンパン。甘ったるいし、メロンパンって名前のくせしてメロン入ってねぇし、何とも言えねえパンだ


「いらねぇヨ」

「まあまあそう言わずに。部活の合間に食べなよ」

「パンなんか食ったら口ン中パサパサになンだろうが!」

「えーじゃあ新開くんにあげて」


そこで何で新開が出てくンだヨ。意味分からねえ、相変わらずコイツは俺をイラつかせるのが得意だ


「…なんで新開なンだヨ」

「新開くん食べるの好きでしょ?」

「知らねーヨ」

「とにかくあげる!」

「ハア?」

「じゃあまた家で待ってるよ!」


そう言って美琴は何処かへ行った。嵐のようにやってきて俺の気持ちをざわつかせて、嵐のように去っていった


「ンっとにヨォ…美琴チャンは…」


メロンパンを見ながら呟けば、いつの間にか笑っていた。気持ちわりぃ、俺が。結局パンは俺が食ってやった。美琴のパンを新開にやるとか考えらんなかったからだ。ぜってー嫌だった。口ン中パッサパサになって喉がカラカラになっても、福チャンになんでメロンパンなんか食ってんのか聞かれても、俺が食べきってやった


「あ゙ー」


“疲れた”そう呟きながら部屋に入ればまたベッドが盛り上がっている。捲れば寝ている美琴。毎回毎回このオチはため息が出る。毎回同じパターンだからムラムラもしねぇ…


「オイ、美琴。起きろ」

「んー」


長い睫毛が見える。眉が眉間によりしばらくして視点が合った。そんな仕草に多少ドキッとしながら、“起きろヨ”と美琴を起こした。また制服が乱れている


「なーにー荒北」

「何じゃねぇヨ。晴れたら行くっつったろ?」

「どこへ?」

「…サイクリング、行くんだろ?」


そのためにテメーは俺の部屋に勝手に上がり込んでるんじゃねぇのかヨ。なんて思いながら、美琴が身支度するのを待っていれば、腰に柔らかい衝撃があった


「ンだヨ!」

「荒北ーだあいすき」


腰に抱きつきながら言うか。俺だってなぁ男だぜ?でも嬉しそうな美琴に嫌な気はなかった


「…そうかヨ」


そう言って、美琴の頭を撫でた






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bkm





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