06



部屋に戻ってベッドを軽く片付けて俺の腕の中で眠りこけてる少女を下ろした後溜まっていた本を読むのに没頭していたら、すごく眩しい光に照らされて、じじいの頭かと思ったら、窓から大きな月が見えた

((今宵は満月さ…))

読み終わった本を片付けて、窓に近付くと月の光が眩しすぎて飲み込まれそうだと思った。見上げた夜空にはその月明かりに負けないくらい輝いている星。綺麗、なんて言葉はとうの昔に棄てたけれど、“綺麗”と言いたくなるくらい無数の星が輝いてる


『ねぇ、ラビ…知ってる?』

『何さ?』

『星は人の生まれ変わりなの。死んだらお星様になって私達を見守ってくれるんだよ』


星を見て思い出したあいつの言葉。非現実的でただの空想でしかないとあの時は聞いて呆れていた。でも今はそんな他愛もない話も懐かしく感じる。ベッドに横たわる小さな体を見ると、同じ顔、同じ髪、同じ表情、同じ仕草…全てが一緒で本当にあいつを小さくしただけみたいなその少女を見て吐き気がした

((どうしてこうなったんさ))

呟いても答えは空中を舞って消えるばかり。あぁ、お前はどうしたいんさ。いつまでそうしているんさ?バンダナを下げ、頭を抱えると、服の裾を引っ張られた。見ると大きな緑眼が俺を捉えている


「あぁ…起こしたさ?」

「らび、くるしいの?」

「苦しくないさ。なんで急にそんなこと聞くんさ」

「らびいたいの?」


((泣いているよ))

ふわっと淡い香りがしたと思ったら、胸に飛び込んできて頬に触れられた。泣いてる、俺が?
はた、と目があった小さな体はいたいのいたいの飛んでけー、なんて的外れな愛子方をしている。ああ、俺泣いてるんさ?なんで、どうして?訳が分からない。俺泣いたことなんか数えるほどで、泣き顔なんか見せたことないのに、溢れて、溢れ出して止まらなかった


「らびー…?」

「ごめんな、ちょっとこうさして欲しいさ」


小さくて柔らかい体を力強く抱きしめる。あぁ、今だけ泣かせてくれ。今だけだから…そしたらまた明日笑うから、今だけ許して欲しいさ


「ぎゅー…?」


小さくて、か細い声が部屋中に響いて、余計に頭がぐちゃぐちゃになってまた涙が出た





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