04


「らび、らびぃ…」


お昼寝してると思って、書物庫から本を探してきて帰ると、大泣きしている少女の姿があった。何かと思って名前を呼び、近づくと、力いっぱい俺を抱きしめる

((ちょっと出かけただけでこんなに泣くんさ…))

よしよしとあやせば、嬉しそうに笑って“らびおかえり”と言われた。ちょっといなかっただけなのになんかきゅんときた。そう言えばあいつも俺がどっか買い出し行ったり、本借りに行って帰るといつの間にか本と新聞に埋まったベッドをきれいにしてたし、新聞と本と借りた本まできちんと分けてくれたっけ…それで『おかえりラビ、今日も大量だね。あ、さっき読んでた本はベッドの上から動かしてないからね』なんて主婦みたいな台詞がいつもこの部屋では返ってきてた。それでおかえりなさいって俺の手を握った。いつも握られるあの手はどんな意味があるんだろうか…

((今となっては考えるよりもこいつのお世話をしないとさねー))


「らび、おなかぐー、せなかひっつく」

「おなかすいたんさ?じゃあ部屋にワゴン…」


と思ったけど、ジジイの本や新聞、俺の読んでる本や新聞は今実は危篤状態で、いつ崩れてもおかしくない…

((こんなとこにこいつ置くわけには行かないから…))


小さな体を抱いて立ち上がり部屋を出た。こいつを預かってからも仕事があって部屋にこもりっぱなしだったから外に出るのは久しぶりだった。ご飯はしばらくリナリーが持ってきてくれたけど、今は任務でいないし…しょうがなく食堂まで足を運ぶ。歩きながら他のエクソシスト達やファインダーは“なにーついに出来ちゃったわけー?”“任務任務とかいっててやることちゃんとやってるじゃーん”“いや、ラビに関しては任務の先々に女の子いるからご当地女子とだよな”なんて下世話な話に花を咲かせていた。食堂に向かう度に何度も見られてうんざりするあいつらはみーんな暇なんさ?てか俺の子じゃねーし!コムイもみんなにわかるように言わなかったらこの先どうすんだよ。面倒を見るって事にはなってるけど、俺の任務がある間はこいつはどうすんさ。買い出し行くにも任務するのも全部連れてくか。いや戦場中まで子守するのは無理があるだろ。オムライスを勢いよくかき込みながら考えたら気分が悪くなってきた。こいつはこいつで急に人数の多い場所にきたらしく泣きそうな顔で俺の腰をつかんでいた


「大丈夫さ…おなかすいたって言ってたさ。だからちゃんと食べるさー」

「ん、はい…」

「ラビお疲れ様ですってそちらの方は?」

「ちょっと訳ありの子供。今俺が預かってんの」

「訳ありってまさか…ラビあなたって人は…」

「ちょっと待つさ!隠し子とかじゃないさね。なんか教団中に噂になってるけど、断じて違う」

「そうですよね。ラビには好きな人がいましたもんね」


アレンの爆弾発言にコーンスープを吐き出してしまった


「あいつのことは別にそーゆーのじゃもうないんさ」

「もう?でも帰ってくるのがいくら遅いからってラビの場合他の人に手を出すとか…ありえますね」

「ないから、ないからやめてください。本当にもうからかうならどっかいくさ。こいつ人見知りみたいでなんかアレンのこと怖がってるし…」

「らび、こわいひと?」

「大丈夫さ。優しいよ、女子供にはフェミニストさー」

「ふぇみ…?」

「この子誰なんです?」


アレンの問いかけに答えられなかった。ただオムライスを口に含んでよく噛んだ。アレンも何も話してこない。なんて話したらいいかわからない。ただわからなかった

((この子はあいつだと言えなかった、何故なんさ))




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bkm

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