02


“ラビ、おやすみなさい”

俺が大好きな君の綺麗な笑顔を見たのはそれが最後だったんさ

任務後、報告ついでにコムイに会いに行くと科学班はいつも以上の慌ただしさで、中心には人溜まりが出来ていた。大方コムイが逃げ出したのをみんなで捕まえたとかそんなんだろうとか思っていたら、その人溜まりから険しい顔したコムイが現れ、俺を呼んだ


「ラビおかえり!」

「おーコムイ、報告に来たさ」

「うん、報告もそうだけど君に話さなきゃいけないことがあるんだ」


そう言ってコムイが連れてきたのは3歳前後の女の子。リーバー班長の腕の中で寝ていた子供は汚れを知らないくらい無垢な表情をしていた。新しいエクソシストかなんかか?こんな子供まで巻き込むなんて戦争も人間も本当に腐ってんな、とか思っていたら見覚えのあるピアスが目に入って思考回路が停止した


「これ、あいつの」

「信じてもらえないかもだけど任務先でいざこざに巻き込まれてしまってね。子供になってしまったんだ」


今科学班が総力を上げて直し方を見つけてるからラビにこの子の面倒をみていて欲しい。そう言って差し出された小さな体。何が何だかさっぱりわからないさ。説明不足すぎるさ。だいたいなんで俺?とか思ってたら目を覚ましたのかごそごそ動いた後、“ラビ…”と小さく名前を呼んだ。その声は似ているけど高くて、不思議な気分になった

((これ本当にあいつなんさ?))


そう思って顔をのぞき込むとぱっちりした目が俺を映している。さっきはよくわからんかったけど顔はそっくりさ


「久しぶりさー」

「…お兄ちゃん、だれ?」


試しに久しぶりと言ってみたら急に不安そうな顔をして俺に問いかけてきた。それを見たコムイもびっくりしている。記憶も幼児化してるんさ?


「俺、ラビって言うんさ。よろしく」

「うん、よろしく」


無垢な笑顔はあいつにそっくりで少し吐き気がした。この時から少しずつ、俺らの日常はずれていったんさ




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