大騒動(俺的に!)だったお風呂も終わり、部屋に戻って髪を乾かしてやるとばだばだと暴れ出した
「こら、動くと拭けないさ」
「らびのいたいーへたくそ」
「いいから黙って座ってなさい」
「きゃー!」
動き回る小さな体をタオルを持ったまま追いかける俺はいつ保父さんになったんさと頭の隅で思った
((これも体が戻るまでの辛抱…))
「捕まえたさ!」
「きゃあっ!」
「もう逃がさん。大人しくするさ」
「らびー!」
「うわっ」
大人しくなったと思ったら急に抱きついてきて、濡れた髪が服に付いて冷たい。本当にお姫様は最近わがままになってきて手を焼きますよ、はい。リナリーとかミランダとかいつもどうやっててなづけてるんさとか思う
「らびー」
「何さ」
服が汚れてテンションも下がった俺に急に顔を近付けてきて緑の瞳をぱちくりさせる目の前のあいつのそっくりさん。いや、小さくなったあいつ本人は俺の目をじーっと見て離さない。なんなんさ
「な、何さ」
「らびのめ、あたしとおんなじ」
きれいだね、なんて言ってまた抱きついてきた。そう言えばそうだ、あいつの目は海みたいに深い青色で吸い込まれそうだといつも思っていた。なのにこいつの目は緑、鏡を見ても俺と全く同じ色で何がなんだか分からなくなってきた
((一体どういうことなんさ))
思考回路をフル回転させて考えても答えは出てこない。気がつくと寝ているお姫様をベッドに動かし、頭をなでると嬉しそうに笑った
((かわいいさ))
笑い方はそっくりで、髪も仕草もそっくりなのに違う瞳。一体全体どうなってるんかさっぱり分からないさ
「明日こいつの健康診断の結果聞くんだし、その時聞くか」
そう呟いて俺も同じベッドに入ってお姫様を抱きしめるように眠りについた
この時の俺はまだ知らない。この後俺らの関係はどうなるんか全然知らないんさ
bkm