後悔中彼氏



俺今すごく、すっごく後悔してるさ。目の前にはものすごくいい笑顔のアレン。本当にいい笑顔さ。そりゃもう怖いくらいに。そんなアレンにユウもリナリーもレインを引き離して遠巻きに見ている。ユウは“いい気味だ”って言ってたっけ…親友なら助けろください。マジで。これはマジでマズイんさ…


「ラビ」

「は、ひっ!」


アレンに声をかけられて思わず声が裏返る。それを見たレインはけらけら笑っている。怖いもの知らずさ。いや、レインだからしょうがないって考えられるけどね?ってこんなこと考えてる場合じゃないさ。死活問題に直面してるんだぞ、俺


「僕知りませんでした…」

「な、なにがさ?」

「最近レインの様子がえらくご機嫌だからなんかあったのかと睨んではいたけどまさか蓋を開けてみたらこんなおっきいウジ虫が付いてただなんて知りませんでしたよ」

「ラビ虫なん?」

「レイン黙ってようね」

「むふっ」


リナリーにドーナツを口に突っ込まれてるレインはマジ癒し系。癒し系暴君って新たなジャンルを確立させてるレインは本当にかわいいさ…なんて考えてる場合じゃなかった。アレンについにウジ虫扱いをされた。ひどいひどい。マジひどいさ。馬の骨とも呼ばれない辺りが本気でアレンが怒ってるのがわかる。付き合ってること秘密にしてたもんなーって言ったら言ったでこうなること分かってたし、そもそもなんでバレたかって言えば今日みんなでご飯食べててマシュマロが出てきたんさ、それを食べたレインが“アレン、アレンの唇もマシュマロみたいに柔らかいの?”なーんてかわいいこと…いや、死亡フラグ発言をしたことから始まる。その次の発言は“ラビは柔らかかったよ。マシュマロみたい”だからまずかった。ごまかし効かなかった。ユウは“おい、何してんだ”って顔するし、リナリーは危険を察知してレインを連れていち早く離れた。そして肩をわなわな震わせたあと満面の笑みで“ラビ?”って呼んだアレン。そして今に至る


「ラビ死ぬ前に言うことは?」

「え!?俺死ぬ決定!?」

「当たり前ですよ」

「うわ!すごいいい顔さ!」

「どうしましょうね?とりあえずミンチ?」

「とりあえずミンチ!?」


もう終わったーと思った瞬間目の前には何故かレインがいる。きっとアレンを睨みつけたレイン、流石のアレンもたじろいだ


「レイン…」

「アレン、だめーラビとらないで」

「ちょっとお仕置きするだけですよ?」


((ミンチはちょっとのお仕置きじゃないさ…))

なんて思っているとレインが俺に抱きついてきた。暴君お姫様がなんて珍しいことをするんさと思って思わず抱き返したらビンタとフォークが飛んできた。この暴力幼なじみ共…


「アレンは分かるとしてレインはなんでビンタすんさ!」

「触られると虫酸が走る」

「ひどいさ!」

「レインもっと言ってください」

「言わない」

「「え?」」

「アレンはラビいじめちゃだめ!」


“ラビはあたしの大事な財布なの!”なんて叫ぶレインに涙が出たさ。男として見られてない、それ以前に財布扱いって何さ…ひどいさ。それを聞いたアレンは安心したのか大爆笑して、許してくれたが腑に落ちない


「レインひどい」

「あら、助けてあげたのに」

「そうだけどー…」

「ちゅーしたいのはラビだけだよ?」


すごい顔を近づけてそんなことを言うレイン。さっきのこと吹っ飛んだ。思わず抱きしめようとしたら逃げられた。姫様は意外と策士さ?

((キスしたことを後悔中な彼氏))





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