俺は彼女、レインをとても、とってもかわいがってるさ。アレンよりも、レインのファンクラブの人達よりも絶対かわいがってる、大切にしてる…なのに
「レインー愛してるさ」
「ふーん」
「レインも俺のこと1番愛してるよね?」
「え?」
何ですか、そのきょとんとした顔は…かわいい!かわいいさ!でもひどいさ!“え?”ってなに!?その後何事もなかったようにマカロンを頬張ってるのが何よりも悲しいさ
((何、この報われなさ…))
ぶっちゃけ、付き合う前の方が好きって言われてた気がするさ。くそー…泣けてくるさね。そんなことを思うけれど、やっぱりレインはかわいくて狼で横暴だ。俺のマカロンまで頬張ってるもん。まぁいつものことさね
「あ、レイン…食べかすついてるさ」
「ん?」
「とってあげるさ」
「あい」
「え…」
ん、と突き出された唇。食べかす付いてるとは言え好きな、ましてや彼女の唇。これは…据え膳ってやつさ!?
「レイン…」
「まだー?」
「今取るさ」
そっと唇に手を伸ばせば柔らかいものに触れる。あぁ、レインの唇とっても柔らかいさ。これキスしたら最高さね?したい、してみたい!
「もー、ラビ何して…」
次の瞬間、ちゅ、と言うリップ音が教室中で響いた…様に感じた。すぐに離れて、レインの顔を見れば、訳が分からないという顔をした後、すぐに耳まで真っ赤にして勢いよくマカロンを頬張って…
「けほっけほっ」
むせた
「もー何やって…」
「触んないで変態!」
「へんた…ひどいさー」
「あたしに何した!?」
「何ってキスさね」
「アレンにもユウにもしたことないのに!」
リナリーとしかしたことないよ!なんてとんでもないことを口走りだしたレイン。え、ファーストキス俺じゃないんですか?てかリナリーかわいい顔してなかなかやるさ!なんて思っていたら“唇、初めてなのに”なんてレインが呟きだした
「え、リナリーとしたんじゃ…」
「いつもほっぺだもん。ティキにもされるけどほっぺだもん」
「へぇ…」
あのやぶ医者何してくれんだと内心腹だだしく思っていると、“ラビとはもっと違う感じでしたかった”なんてしょげっている。暴君お姫様にもロマンチックな事を求めてみたい感情はあるらしい。ちょっと悪いことしたさ?
「レイン、マカロン頂戴?」
「なんで」
「食べさせてあげる」
「…うい」
差し出されたピンクのマカロン。たぶんラズベリー味だと思う。あーんとしたレインの唇にまた触れた
「うん、やっぱり」
ラズベリーの味と、それと同じくらい真っ赤のレインが見えた。甘くておいしいさ
((斯様な思考をする彼氏))
prev next