見上げた空はとても青い。青くて、綺麗で、吸い込まれそうだと思った
『ラビ、だいすき』
目を閉じると笑う君が脳裏に浮かんで涙が滲んだ
放課後、今日は珍しくレインが授業を受けているとリナリーから聞いて、教室まで迎えに行った。そんな時聞こえてきたユウとレインの話し声、同じクラスで仲のいい(たぶん)2人だから話すことだってあるんだろう、楽しそうでなによりさ!なんて思ったときにふと頭を過ぎったのはリナリー以外にレインと付き合った事を報告していないと言う事実
((今レインを呼んだらもしかしてもしかしなくてもまずいさ?))
ユウはアレンと仲良くないからバレても告げ口とかはしないだろうけど、ユウもユウでレインを大事にしているからもしかしたらパンチの一発や二発食らうかもしれない。もちろんアレンになんかこの事実を告げるわけにはいかない。バレたら即刻処刑される…
((あ、危ないさ…))
普段過ごしていてもレインの態度は今までと変わらなかったし、だから俺も付き合ったからと言って態度を変えようとはしなかった。だからリナリーに言われるまでバレないだろうとか思ってた
((まぁ…ラビ浮かれてるね、なんてあっさりバレたんだけどね))
そんな事より今はレインさ!平静を装って教室に入ろうかな、なんて考えてた時に聞こえたレインの声
「好きだよ、ユウ」
身体が急に硬直して動かなくなった。聞き間違えたか?いや、聞こえたのは確かにレインの声。凛として、澄んでいて、研ぎ澄まされた紛れもないレインの声で、さっきの台詞が頭の中で何度も何度も反芻する
((好き、だなんて…俺には普段言わないくせに))
なんとか動いた足で教室を後にする。まだ話し声が聞こえたけれど、聞き取る気力も無かった。足はいつの間にか屋上に向かっていて、真っ青な空が俺をお出迎え。澄み切った青空に反吐が出そうさ。そのまま中央に横たわって空を見上げた
分かってるさ、さっきのレインの台詞がユウに対する友愛の言葉だってことは。でも、レインは俺にだって、滅多に好きとかデレないツンデレ(か、どうかは不明だけど)なのにユウには言うってどういうことさ!?そう思ったらひどく悲しくなって、胸の中が黒く淀んだ感情でいっぱいになったんさ
「レイン…」
「呼んだ?」
「い!?」
呟いた瞬間ひょこっと顔を出したレイン、びっくりして起きあがると風に煽られて髪を靡かせるレインの姿があった
「な、なんでいるんさ…」
「ん?息抜き」
あぁ、分かってた。分かっていたさ…レインの口から“ラビを探しに来たの”なんて言葉が出ないことくらい…分かっていたけど期待した。哀れな男の性さ
「ん、そっか…」
「ラビ元気ないねぇ」
「そんなことねぇよ?」
笑ってレインに触れると不思議そうな顔をするものの、何も言わなかった。珍しいさ
『好きだよ、ユウ』
あぁ、さっきの言葉が響く
「レインさ…俺のこと好きさ?」
「んー…好き?」
「そ!好きさ?」
「…まーねー」
顔色一つ変えずにレインは俺の目を見てそう言った。その言葉に俺はありがとうと言って、レインの頭を撫でる
「帰ろっか」
レインの手を引いて屋上を後にした。出来ることならさっきの問いに“好き”と答えて欲しかった。でもレインからそんな答えが出るわけ無いことも分かってた。それでもその言葉が欲しいのは俺のわがままなんさ?
((レイン…愛してる))
胸で渦巻く黒い感情に押しつぶされそうなのを隠すことにただ必死だった
((哀切な感情をもつ彼氏))
prev next