最近、レインに彼氏が出来たらしい。どこの馬の骨がレインを手懐けたんだと思ったら、あのばかうさぎだとレインがあっさりボロした
((いくらなんでもあいつはねぇだろ))
そう思っていると、レインは聞きたくもないあのくそ赤毛との話をする。大半が“スタバに行ってきたー”とか“いつもクリスピークリームドーナッツくれるー”とか、一貫して食いもんの話ばっかり…あいつ遊ばれてるだけなんじゃねぇか?つか、前とやってることが変わらないことに疑問を持った
「…お前さ」
「なぁに神田」
「あのたらしをなんだと思ってるんだ?」
「ラビのことー?」
「あぁ」
「んーいつもおいしいものくれる」
そう言いながら甘ったるそうなマンゴージュースを飲むレイン
((いつもおいしいものくれるって、お前誰からももらってないか?))
と言う言葉は喉まででかかって飲み込んだ。流石はどっかのくそモヤシの幼なじみとあって、俺のやったそば粉パンを数秒足らずで食べきって、お腹空いたとかほざいてるこいつに嫌気がさす。あのバンダナはよくこいつの食欲に付き合えるもんだと不本意ながら誉めたくなったが、そんな気持ちを数秒で吐き捨てた
「お前、あいつのどこが好きなんだよ」
「すきー?」
「…答えたくなかったら答えなくていいけどよ」
緑茶パックを掴みながら呟くように聞くと、レインは窓際から俺の方によってきて、その大きな目を見開いて俺のことを見てきた
「なんでそんなこと聞くの?」
「チッ、なんでも良いだろうが」
「神田」
レインの声が嫌に響いた。口元が動いてるのがわかる。なのにそれから一切の声が聞こえなくなった
「好きだよ、ユウ」
ただ、聞こえた言葉はそれだけ
「それは俺じゃなくてあいつに言えよ」
「ユウのことも好きだもん」
「お前、今言ってる言葉の意味分かってねぇだろ」
「わかってるよ!ユウが、ユウが変なこというから、例えラビが彼氏でもユウが友達であることは変わんないもん!」
響いたレインの声。一瞬びっくりしたけど、そう言うことかよとすぐ理解して呆れた
「レイン」
「…なに」
「あほ」
((誰が友達辞めるったよ))
ぎゅっと抱きしめた時にレインが震えてるのが分かった。まるで右も左もわからない迷子になった小さなガキみたいだ
((滅多なこと聞くもんじゃねぇな))
元々こいつは何にもわかんないようなガキそのものだったのに、彼氏が出来たからって何かが変わるかと思って期待した俺がバカだったな
「チッ、悪かったよ…そんなに泣いてんじゃねぇよ」
「泣いてねぇし」
「口悪いな、お前」
「お互い様でしょっ」
そう言ってレインは俺に笑顔を見せた。いつも見てるはずなのに、もう俺のものじゃないと思うと胸が痛んだ
((少年Kによる彼女への関心))
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