幸福な彼氏



みんなの前で正式に、レインと付き合ってるって宣言してからしばらくがたった。最初は親衛隊に何だかんだ言われたり、追いかけられたりしたけど、時間ってすごいさ。もうレインと俺が一緒に居ることが当たり前のようになっていた


「レインー?」

「何、ラビ」


眼鏡美人の俺の彼女は書類を書く手を止めて、俺の方を向いた。ちょいちょいと手招きすれば、“めんどくさーい”と一言言いつつも眼鏡を外してソファーまでやって来てくれる。レイン、只今デレ期。そんなレインをぎゅっと抱き締めれば、一瞬戸惑った後、すぐに抱きしめ返してくれた。ああ、なんて幸福


「…レイン」

「なぁに」

「好きさ」

「…そう」

「レインは?」

「は?」

「俺のこと、好き?」


夕日に照らされるレインの髪は俺と同じ色。困った顔をしているレインを再び抱き締めれば“好きだよ、ラビ”と言う言葉が降ってきた。昔はその“好き”の意味すら分かってないお子様暴君お姫様だったのに…俺が染め上げたんさと思ったら優越感


「レイン、大好きさ」

「うん」


顔を近づければ閉じられる瞳。前みたいに不意打ちに奪った唇じゃなくて、互いに求め合ったキス。キスなんてたくさんしてきたけれど、今までして来たキスよりも、一番甘くて、切なくて、幸福だった


「ラビ」


唇を離せば、目を開けたレインが潤んだ瞳で俺を見て名前を呼んだ。抱き締めれば“ぐぅー”と言う音が聞こえる


「「あ」」


互いに目を見合わせてクスクス笑って、“ドーナツでも食べに行くさ?”なんて聞けば、目を輝かせて“うん!”なんて笑顔になるレイン。相変わらずムード台無しにしてくれちゃうし、色気より食い気だけど…そんな子供っぽいレインが愛おしくてたまんないんさ


「行こう?」


笑顔で伸ばされた手を取れば、幸せが溢れた。ぎゅっと繋いだ細い手、今はそれが真実だから。離したくないって思うから、人を好きになるってどう言うことか改めて分かったさ。ありがとうレイン、俺に愛を教えてくれて。それから…


「愛してる」




end





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