今日は学校には来たものの授業を受ける気分に全然ならんかったから屋上で過ごしてる。もう3時間くらいたったさ、そろそろお昼休みになってみんなあがってくる時間になるさね。今日も俺の携帯は朝から鳴りっぱなしさ。さっき下町のみたらし団子屋の店員のお姉さんから“暇なら遊びましょう。サービスしますよ”なんてハートの絵文字付きのかわいいメールが届いたけどそんな気分でもなくて、何にもせずにうだうだしながら過ごしていた。
((そう言えば今日女の子と触れ合ってないさ…誰か膝枕してくれんかなー))
なんてコンクリートの床に寝転んで空を見ると空の青さじゃなくて細い脚ときれいなチェックが見えた。ちょっと待つさ。あれパンツさね…?なんて思ってるとパンツ基人が降ってきて頭上にいた人物が現れる
「あ、ラビだ。ちゃおー」
「よっす。レインもサボリ?」
「違うよー窮屈な日常から抜け出して夢を探してたんだ」
「つまりサボリね」
“まーそーだな。不本意だがな”なんて笑顔を俺に向けるレイン嬢様はどうやらご機嫌のご様子さ。俺の足を跨ぎながらしゃがんで空を仰ぎはじめた。どうやら動く気配は無いらしいさ。なんでもいーけどその格好は色々まずいってゆーかパンツばっちり見えちゃってるんですけど、ねぇ。今日は黄色のチェック柄なんね。レインのパンツはいつもかわいいさ。似合う似合う…じゃなくて!もうじき昼休みさ、つまりみんなご飯食べるためにあがってくるわけで、今日の買い出し担当はリナリーだからご飯は買いに行かなくていい(レインがわがまま言わんかったらな)けどレインは俺の足下から動く気配無いしってゆーか動いてるんだよねー…別の意味で。そんなに俺の足下で腰振らんで欲しいさ。まるでいつも遊んでる女の子達と同じ…
「レイン…なんなんさ」
「ラビと女の子がこーしてんのよく見るからまねしてるー。気分どう?」
よく見るって、そんなこと言うって事はレインもよく授業サボってるんね。しかも屋上にいてやり取りを見てるわけなんですね。“気分どう?”なんて、最悪に決まってるさ。レインに見られるし、レインが変なこと覚えたってことはアレンやユウだけじゃなくてリナリーにもいろいろ言われるってゆーか軽く血祭りさ?
((髪はいーけど体中赤くなるのはいやさ!))
なんて思ってたら気がつけばレインの顔が真ん前で不覚にもドキってした。他の女の子に比べればレインはかわいいんだけど俗に言う幼児体型で、どっちかと言えば恋愛対象外の小動物のはずなのに小悪魔を思わせるようなな笑い方とか潤んだ目とかちょっとまじストライク!なんて思ってる俺は所詮男の子さね
「ねーあたしでもどきどきする?」
耳元で囁かれて、見透かされてることにますますドキドキして、後ずさりすれば背中が壁に当たって行き止まり。そんなことには目も触れずレインはどんどん近づいてくるまさに背水の陣さ。後ろ川じゃないけど
「ねぇ、ラビこっち向いて」
「ちょ、なんなんさ…」
「ラビ、あたしを見て」
レインの目には俺のオレンジの髪がばっちり映ってて、俺の頬に触れるレインの細くて白い指先とか、脚は意外と長くてきれいなんさーとか、腰細くて抱きしめたら折れそうさなとか、そんなことばっかり考えるようになってる自分がいる。ちょーっと待つさ!相手はあのレインさね?わがままで横暴で俺を振り回すレインさ!子供みたいに無垢だったはずなのに目の前にいるレインは俺の知ってるレインじゃなくなってる。まるで大人の女性さ
「レイン…」
「ラビ、しー…」
レインの指が俺の唇に触れてそこから電気が走った。まるでレインに初めてあったときと同じ感覚さ。あの時本当にストライクだったのにあの感情はどこいったんさ?話していくうちにレインがあまりにも子供っぽいってのが発覚して少しがっかりしたし、それて感情を押さえ込んでただけなんか?俺、好きなんか?レインが好きなんか?
「レイン、俺さ…」
「レインおまたせー」
レインを抱きしめようとした瞬間、チャイムが響いて、それと同時に屋上の扉が開いてリナリーが入ってきた。レインはリナリーを見た瞬間すぐさま俺のそばから居なくなり、昼ご飯を食べようとしていた。今日はハンバーグ弁当らしい。ちょっと俺これ完全に弁当に負けたさ?
「こら、レイン。アレン君と神田がくるまで待とうね」
「…はーい」
「よしよし。あ、ラビもいたんだね。レイン見ててくれてたんだ」
「まぁ、な」
「すっかりお世話係が板に付いてるね」
リナリーがそう笑うけど俺の気持ちはなんか複雑。レインに初めてあって気に入られて、気がついたらお世話係になって。最初は女の子と遊べなくなるからちょっと嫌だった。だって肝心のレインは美人なのに中身がお子様丸出しだったさ。でも段々一緒にいるのが楽しくなって、女の子と遊ぶよりも正直レインと遊んだ方が気が楽だったりするんさ。
「遅くなってすいません」
「アレンーかんだぁー」
「うるせぇ…なんだ飯食ってなかったのか」
「2人がくるまでがまんしてたの。さ、食べましょうか?」
「うん!ラビーおいでー」
さっきの妖艶さとはかけ離れた明るい笑顔で俺を手招きするレイン。あれはレインのいつもの気まぐれだってわかる。だってアレンとユウに囲まれて幸せそうにハンバーグ弁当を食べているんだから。まじびっくりするくらいいつも通りさ。でも俺のこのもやもやをどうしてくれるんさ
((俺の気持ちを閑却にする彼女))
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