愛育中彼女


今日の教室はとても平和。何故って?あの暴君がやって来なかったからさ。今日はちゃんと真面目に勉強してるんかなーとか思いながら静かな時間を有意義に使おうと思って机に突っ伏して昼寝をしようと思ったけど寝付けない。しょうがないからかわいい女の子達とメールしようかと思って机に手を突っ込むとビニールのこすれる音が聞こえた

((今日はお姫様にシュークリームを買ったんだっけ…))

コンビニで一番高いシュークリームなのは言わずもがなさね。こんなに尽くしてる俺はレインの何なんさとか思っていたら、授業終了のチャイムが鳴って、そのままシュークリームを持ってレインのクラスへと足を運んだ


「ユー、レインは?」


教室の入り口付近に立っている黒髪の美少女…じゃなかった!美少年(?)に話しかけると不機嫌そうな顔つきで俺を見た。多分“ユウ”って呼んだからさ


「今日レイン、俺の教室に来なかったんさ。レイン今教室?」

「…知らねえ」

「え、レイン今日もまた授業受けてないさ!?」

「アイツが授業出ねぇのはいつもだろ。今日は見てねぇ」


チッと舌打ちしながら“もやしんとこにいるんじゃねえのか”とだけ言ってユウはその場から居なくなった。ユウ、ちょっと寂しそうに見えたのは気のせいさ?まぁ、いいさ。かわいいお姫様にシュークリームを届けるために次はアレンの教室に向かった


「アレーン、いる?」

「ふぁい?」

「げ…」


廊下にいた女の子達にアレンの居場所を聞いて、きゃあきゃあと言う黄色い声浴びながら教室に入ると、大量のパンの山を見つけて思わず固まった。その山の麓には白髪の少年が一心不乱にパンを食べている。ちなみにまだ昼休みではないさ


「ん、ラビ…どうしたんですか?」

「お前こそどうしたんさ…」

「ジュリーさんから試作品の味見を頼まれたので」


味見程度の量じゃない。つーかこんなにあって味わかるんさ?俺なら絶対に無理。そんな大食漢アレンに圧されつつも本題のレインの居場所について聞いてみた


「レインならさっきふらっとやってきたと思ったらリーバー先生に連れられてどっか行きましたよ」


その時メロンパンも一緒に取られたんですけどね、なんてとげとげしい言い方をするアレンは本当にどれだけ食べたいんさとか思ったけど、言葉を飲み込んだ

((リーバー先生んとこね…))

生徒会の話かななんて思いつつ職員室に向かうと、部屋の奥の方に冷えピタを貼ったリーバー先生が見えた。…今は修羅場さ?


「リーバー先生ー」

「おーラビか、どうしたー職員室に来るなんてまた何かやらかしたかー頼むから被害を増やさないでくれよ」


全部一息で言われたさ。俺そんな不良じゃないさ、むしろレインの方が問題ありまくりって肝心なことを聞くの忘れた。修羅場ってるとこ申し訳ないけど俺のかわいいお嬢様の居場所をリーバー先生に聞いた


「なんだ、今日はラビのとこ行ってないのか」

「そうなんよ。今日めずらしく教室静かで寝やすかったさー」

「お前仮にも教師の前でそう言うこと言うなよな。ちなみにレインならさっき会って生徒会の話と書類を渡したぞ。それから出て行ったから居場所はわからないな」

「そっかぁ…」


どこ行ったんさあの暴君は、とか思っていたら細い手足とコーヒーカップが目線に入って見るとリナリーがどうしたの、なんて言いながら立っていた


「リナリー、レイン見なかったさ?」

「レイン、今日一緒じゃないの?」

「今日は教室来なかったんさ」

「うーん、どこ行ったのかしら」

「神出鬼没すぎるな、レインは」

「レインちゃんならさっき見かけたよ」


そうリーバー先生がつぶやいたすぐ後にコムイが立っていて少しびっくりした


「コムイそれ本当さ!?」

「うん。ついさっき保健室に入るのを見かけたよ」

「「保健室ー!?」」


リナリーと思わず声が重なったさ。それにしても保健室か…

((またなんで厄介なところに行くんだあいつは!))

頭を抱え込んでいると、リナリーからなんでそんなにレインに会いたいの?って聞かれた


「会いたいとかじゃなくて買ったシュークリームが腐ったらもったいないから探してるんさ。あーもー保健室行ってくる!」


そう言って職員室を飛び出して保健室に向かうけど、足取りが重いさ。つか、本当に俺たかがシュークリーム1つ渡すのに何でこんなに奮闘してるんさ。あー考えたら頭痛くなってきたさ

((俺尽くしすぎー))

なんて思ってるうちに到着して、ドアを開けると笑顔でチョコレート食べてるレインと保険医のティキの姿があった


「はーやっと見つけた」

「あ、ラビ」

「あ、ラビじゃねー…どんだけ探したと思ってるんさ」

「知らないよ」


((あぁ、このお嬢様は本当に…))

シュークリームを差し出すとラビからのプレゼント?ありがとーなんてがさがさと袋をあけて幸せそうに食べてる。なんか色々言いたいことあったけど、そんな笑顔見たら全部吹っ飛んだ


「少年も苦労してるんだねー」

「あんたに何がわかるんさ」

「分かるよーこの少女はかわいいもんね」


なんて言ってティキはレインの頭を撫でた。そしたら嬉しそうに笑うからなんかイライラしてレインを立たせて腕を引っ張った


「ラビ?まだ食べ終わってないけど」

「ちょっと待ってて欲しいさ」


レインをティキ隠すように前に進み出ると、ティキはくっくっと喉を鳴らすように笑って、少年分かりやすいねなんて言った。当然レインは何のことだか分からないらしく何がー?って後ろから声がしたけどなんかもうぐちゃぐちゃになって、レインの手を取って足早に保健室を出た

((だから保健室は苦手なんさ))

保健室を出て、いつものように屋上に来るとレインが俺から手を離した。さっきまでずっと手をつないでたと思うとなんか急に恥ずかしくなってズボンで手を拭った。いつも繋いでるくせに、今日はなんだか無駄に意識しちまう。レインの手もいつも以上にあったかくて、今俺に見せてる笑顔もいつも以上に眩しく感じるのは気のせいなんさ?


「ラビー」

「なにさ」

「シュークリームおいしかった」


ありがとーってレインは笑った。しかも俺に抱きつきながら

((愛育中の彼女の変化))




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