嬉しい?恥ずかしい?初・体・験!


俺や弟の団蔵と愉快な仲間達が通っている、ここ【忍侠人間育術学園】通称【忍術学園】は中高一貫の敷地内に寮や温泉を完備したここら辺では巨大な普通科の男子校である。いや、今となっては、“男子校だった”と言うのが正しいのかもしれない。生徒達は艶っぽい髪を靡かせ、豊満でわんぱくな胸を揺らし、きゅっと引き締まったお尻を動かせば、ひらひらとスカートが揺れ動く。見渡す限り、【男子】らしさは見当たらないのだ。これは決していつもよく分かんないけどやってる1年は組実技担当教師山田伝蔵先生の女装の授業をしているわけではなくて、本気の方である
((本気、と書いてマジ、と読む方だから人生何が起こるかわかんねぇなぁ…))
かく言う俺も後輩で年上のタカ丸さんに髪をポニーテールにしてもらって、白い水玉のシュシュなんかつけてスカート穿いて、黒いニーソ履いちゃったりなんかしちゃってる。本当に女子高生

「裕飛かわいいな。いつも通りだ」
「三郎、滅べば?」
「裕飛、いつも通りでかわいいよ」
「あぁ、似合ってるぞ」
「雷蔵、兵助…嬉しくない」

なんだかんだで楽しんじゃってる雷蔵さんとおいおいお前もな、って言いたいくらい綺麗な兵助はたぶん学園の外歩いたらナンパされちゃうであろうかわいさだ
((あれか、人生楽しまなきゃそんって言いたいんか?))
女の子になってもかわいさ爆発的な弟はタカ丸さんにかわいくしてもらったらは組のよい子達の輪の中に颯爽と入っていってしまった。色気なんか関係ないと言ったところか、まぁ…団蔵らしいから良いけどと、微笑んだ先にゆらゆら揺れる蕎麦と饂飩

「こんなの恥ずかしいよ!」
「はっちゃん似合ってるよ。かわいい、かわいい!トランクスがミ●キーなんだね」
「ぎゃー!みるなー」

短いスカートを必死になって伸ばしているはちだけど後ろからミ●キーパンツが丸見え。隠れてないぞ、八左ヱ門くん

「だいたい何でみんな素直にスカートはけるの?適応能力高すぎるよ!」
「俺だって恥ずかしいよ。つか、はち前ばっかり伸ばすと後ろからパンツ見えるぞ」
「わー!てか、なんで裕飛は見えないわけ?」
「俺ボクサーだから」

トランクスなんか穿いたらポジションがうまくいかないじゃん?その点ボクサーはがっちり守ってくれるからな
((まぁ、今となっては守も何も無いんだけど…))
そんなことを思っていたら再び学園長先生からのお言葉が校庭に響いた。なんでもスカートだけじゃなくてパンツや下着類全て女性のにするようにとの事らしい。マジで、えと、どうしよう…変態になれと?

「裕飛、僕達今は女の子だから変態じゃないよ」
「そんな事よりあの下着の山をいつ用意したんだろうな」

い組っ子の余裕っぷりになんか頭が上がらない。お前ら馴れすぎだぞ。普通ははちみたいに“いやだぁぁあああ!”と絶叫して、今見たく俺の隣でうなだれるのが正しい反応だと思う
((俺は女装なれてるからいいけど))

『下着は一度に大勢来ると混んでしまうから委員長、委員長代理に代表して選んでもらい、各委員会事に集まって配るように』
「だとよ、はち…泣いてないで行かないと」
「うぇ…ぐ、わかったよう」
「はっちゃん元気だして!」
「そうだぞはち、まだまだ人生長いんだからな」
「…あいつらの適応能力の高さはなんなんだい?」
「それ僕も思ったよ」
「いや、鏡見ながら髪型を気にする雷蔵さんも良い勝負だよ」

((あんた朝泣いてたのにな))
委員長、委員長代理がみんな下着を採り終わったようで、雷蔵が図書委員会で呼ばれた頃、俺も留先輩の“用具委員会集合”と言う掛け声を聞き、ちびっ子達が集まる輪の中に入っていった

「裕飛先輩」
「作か、かわいいなーポニーテール」
「か、からかわないでくだせぇ!」
「およ」

黄緑のリボンをピンと跳ねながら言うと、真っ赤な顔をして手を避けられた。まぁ、思春期だし、こんな事されたら嫌だよなぁと思って素直にごめん、と言ったら小さな声で恥ずかしいんです、と返ってきた。本当にごめんな、作兵衛

「裕飛、みんな動揺してるんだからからかうなよ」
「はーい。すいません」

そんな留先輩は凛とした佇まいで、黒くセミロングくらいの髪をハーフで結び、着けてるゴムが用具委員会御用達のあの家鴨をあしらった物で笑けてくる。でも留先輩は本当にスレンダーって言葉が似合うくらい細くてきれいな足がスカートから見えていた

「それじゃあ下着を配るからな。1人7着で一週間分あるからな」
「「「はーい」」」

1年生の元気な声が響く中、着々と配られていく下着、どんなのをもらってきたんだろうと思いながら配られたパンツを見ると、触った感触が綿素材。てゆーか白のカボチャパンツ。まさかと思って広げると、再び現れた用具委員会御用達の家鴨さん。つーか刺繍入り

「ちょ、留先輩」
「なんだ裕飛」
「また、ですか?」
「アヒルさん、良くできてるだろう?さっき急いで縫ったんだ。白だけじゃなくてピンクや青もあるぞ」

いやいや、あの短時間でどうやってとかなんでカボチャパンツなんだとかつっこむとこ多すぎてどうしたらいいか分からない。隣を見ると作兵衛が青い顔をして絶句していた。だろうな、正しい反応だぞ作兵衛。褒めてあげる。これは流石に中1トリオもお揃いのパンツは嫌だろうと思って様子を見る

「わーアヒルさんだあ」
「僕、アヒルさんなめさんと同じくらい好きだよー」
「…ふわふわ、穿きやすそう」

…俺、お前たちのファンシーぶりなめてた。君らすごいよ。大物だよ。結局、俺と作兵衛は中1トリオみたく受け入れることは出来なくて留先輩に丁寧に謝った後自分で下着を漁りに行った。今回の件で用具委員会の後輩の凄さを肌で感じた
((純粋無垢って時に最強だな))







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