OH!マイリトルボーイ!


高等部の2年の寮から中等部1年寮は遠いから脇目も振らず猛ダッシュして団蔵の元へ

「団蔵!」
「ほぇ…兄ちゃんおはよー」
「あ、裕飛先輩おはようございます」

まだ寝てたのかほわんとした顔の団蔵はもう悩殺級のかわいさだ。加えて長いボサボサの髪からちらちら見える胸の膨らみがたまらん!虎若くんも髪は団蔵より短めだけど健康的なボディが見えてる。
((中1なのに結構筋肉あんなぁ…))
なんて思ってると寝ぼけた団蔵がいつものように俺の胸に飛び込んできた。俺の胸の中で嬉しそうにしてる団蔵を見るとなんか自分が天女になった気がした。これが母性本能ってやつか?

「団蔵眠いのかー?」
「兄ちゃ…ん?」
「あーどした?」
「なんかいつもより柔らか…ぎゃあー!」

俺の体に違和感を覚えた団蔵は俺の着ているパーカーの中を少し覗いた瞬間、絶叫を上げて俺から離れていた。わかる、驚くのは分かるけど普通にショックだよ

「お、おおおおおにいちゃ…」
「団蔵落ち着けって…裕飛兄ちゃんだよ?」
「とらわかぁ!兄ちゃんの皮を被った変な人がいるよ!兄ちゃん助けて!」
「いやいや俺だし!」
「…裕飛先輩、女の人だったんですか?」

控えめに、恥ずかしそうに言う虎若くんは俺の体を直視出来てない。異性を意識しはじめてる証拠だなーなんて呑気なこと思ってる場合じゃなかった。団蔵が普通にパニックを起こしてるけど、近づいたら団蔵に“来ないで!”って言われた…どうしよう、団蔵に嫌われた…もう生きていけない…

「裕飛!いるか!」
「あ、竹谷先輩…?」
「おはよ、虎若。一応俺だよ」

俺が意気消沈してると現れた銀髪美女(?)はちに反応したのは少し戸惑ってる虎若くんで、何に戸惑ってるかすぐさま察したはちは虎若くんに笑いかけて俺に近づいてきた

「裕飛、流石に素肌にパーカーはまずいと思うぞ。Tシャツ持ってきたから着て…ってどうした?」
「はちぃぃいいい!」
「うぉ!?いったいどうした?」

悲しさのあまり半泣きになりながらはちを押し倒すとびっくりしながらもはちは俺を支えてくれた。戸惑いながら虎若くんに様子を伺うと隣にいる団蔵が“今度は竹谷先輩に似た変な人が来た!”と叫び声を上げていて、はちは“なるほどな”とため息を吐いた

「裕飛、団蔵はびっくりしてるだけだろ?」
「来ないでって言われた…そんな事一度も言われたこと無いのに来ないでって言われた!俺団蔵に嫌われたよぅ!もう生きていけない!」
「しっかりしろ裕飛!」
「もうだめぇ、死ぬぅ!」
「早まるな!」
「はちー裕飛いたぁ?ってどうしたの?」
「う、うぅーらいぞー!」

はちを探しに来たらしい雷蔵に勢いよく抱きつくと、雷蔵は少し驚いたけど俺のことをぎゅって抱きしめて頭を撫でてくれた。他のみんなもぞろぞろ集まってきて慰めてくれる、ちょっと落ち着いてきたかも…

「裕飛、どうしたの?」
「団蔵に嫌われた…」
「よしよし、裕飛は泣いていると儚くて愛おしいね。どれ、雷蔵ではなく私が全身全霊で抱いてあげよう。おいで」
「兵助、三郎黙らせて」
「わかった」

その後ピンク色に染まった豆腐の塊が見えたけど、俺の気持ちはそれどころじゃなかった。団蔵に来ないでなんて言われるなんて、地球が破滅するより衝撃的な一言なんだから。ちらっと団蔵を見ると目も合わせてくれない、また泣きそう…

「えと、先輩達は…女の子だったんですか?」
「男に決まってるだろ、虎若。つっても俺達もさっき寮で自分達の姿見て驚いたばっかりなんだけどな」
「そうだったんですか…じゃあ先輩達は本当に竹谷先輩…?」
「そうだよ。団蔵、裕飛だからそんなところにいないでこっち来い」

部屋の隅で震えている団蔵をはちが呼んだ。ふるふると震えている団蔵は小動物のようにかわいい。普段なら抱きしめてる。だが、今の俺には抱きしめる資格なんかない、だって嫌われたんだから…もう兄貴としてあの子の側にいられない

「裕飛、まじで落ちてるな」
「誰よりも大切な弟に嫌われたからねー」
「うわぁぁあん!雷蔵と兵助のばかぁ!」
「こら、2人とも裕飛を泣かせないでよ」
「だってあんまりめそめそしているとうざくない?」

勘ちゃんの注意も虚しく雷蔵にめっちゃひどいこと言われた。もう何にも信じられない…

「こらこら、雷蔵も兵助も裕飛を泣き止ませたかったら、団蔵の誤解解こうぜ?裕飛、こっちおいで」
「はちぃ…」
「よしよし、団蔵。お前の兄ちゃんはお前が来ないでって言っただけでこんなに弱って泣いてるぞ。裕飛は普段こんなに泣かないだろ?こんなにお前のこと大好きなお兄ちゃんが違う人なわけ無いだろう?」
「う、だって…」
「だってじゃなくて、こっちこい」
「ほら、団蔵」

はち促され、勘ちゃんに背中を押されて恐る恐る近づく団蔵。目の前に来た団蔵と目が合う。じっと見つめられて今度は反らされない

「にい、ちゃん…?」
「だん、ぞ…俺だよ?裕飛だよ。こんな身体になったけど、俺はお前の兄ちゃんなんだ…信じてくれよ」

震える手で団蔵を抱き締めると今度は逃げられなかった。嬉しくてぎゅうっと抱き締めたら抱きしめ返された

「だんぞー…?」
「――――…ちゃんだ」
「え?」
「兄ちゃんの匂いがする。僕の大好きな兄ちゃん」
「団蔵!」
「兄ちゃん!」

嬉しくてぎゅうぎゅう抱き締めたら、団蔵もぎゅうぎゅう抱き締めてくる。よかった、嫌われてるわけじゃなくて本当によかった

「兄ちゃん、ごめんね」
「もういいよ。わかったんだよな?」
「うん、兄ちゃん大好きだよ!」
「俺もぉー!」
「兄ちゃんくるしいー!」
「俺の愛の重さだー!」
「じゃあもっと苦しくして?」

団蔵…あぁもうどうにかなりそう。可愛すぎる!でも、それ俺以外に言ったら襲ってくださいって言ってるようなもんだからな?絶対言うなよ?
((言わせもしないけどな))

「裕飛よかったね」
「代わりに団蔵ばかスイッチに切り替わったけどね」
「まぁ雷蔵、そこはいいんじゃない?裕飛が幸せそうなら」
「ところで先輩達なんで女の子になってるんですか?」
「ん?虎若も団蔵も同じ様になってるからな。さ、服着ようか?」
「「え…?」」

はちの一言に2人は絶句。団蔵は俺の腕の中で恐る恐る下をみた後真っ青な顔して再び絶叫した。その後団蔵を宥めるのに1時間がかかった
((狼狽える団蔵もかわいいけどな!))





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