「あ、いらっしゃい」
「菅原先輩」
体育館にやってきた私をいつも1番に見つけてくれる菅原先輩。先輩は“普段スガさん呼びだから先輩とか恥ずかしいな”なんてニヤリと笑っている。先輩の笑顔はこの世を平和に出来ると信じている
「名前ちゃん、いつも見に来てくれんね」
“なんで?もしかして入部希望?”なんて笑う。なんでって菅原先輩を見たいからに決まってる。大好きな菅原先輩、近くに居たいけれど近すぎるときっと私は爆発しちゃう。私が返事に困っていれば、菅原先輩は“冗談だよ。いつもありがとね”なんてまた笑った。ああ、素敵な笑顔。トスを上げる指先も綺麗。飛び散る汗も綺麗。どうして菅原先輩はこんなにも綺麗何だろうか…
「…そんなに見つめられたら照れるべ」
「え!?」
マズい。完全に無意識だった。見つめすぎてしまった。でも…
「先輩、綺麗でしたから」
「俺が?」
「はい」
「綺麗って…言われなれないからなんか新鮮だなー」
呑気に構えて笑う菅原先輩。良かった、好きだってこと、バレてないっぽい。バレたらもう見に来れなくなってしまう
「名前ちゃん、さっきの話、真剣に考えてよ」
「さっきの?」
「入部希望の話」
“名前ちゃんに側に居て欲しいなー…”なんて流し目で私を見る菅原先輩は確信犯だ
「先輩、ずるい、です」
「こーゆーのは言ったもの勝ちだからね」
「うー」
「唸ってもだめー。ねぇ、俺ね、本気だよ?名前ちゃん?」
近づいてきた菅原先輩に逃げ場を完全に失った。頷く以外の選択肢が無くなってしまう
「菅原先輩、本当は黒いですね」
「名前ちゃんが俺のこと好きなんだから問題ないよ」
“だからこれからも俺を見てて”なんて、さっきまで恥ずかしがってた菅原先輩はどっかへ行って、代わりに確信犯の菅原先輩が登場した。そんな菅原先輩をずっと見ていたいと思った私はMなのかもしれない
Happy Birthday 菅原
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