「リエーフ、くん」
目の前にいる大きな巨神兵を呼んだ。すると、チームメイトに笑顔を向けた後、こっちに来た
「どうしたの?」
「ん、ちょっと様子見に来たの」
“今日は一緒に帰れそう?”なんて聞こうとした時に、リエーフくんを呼ぶ声がした。それに返事をするリエーフくん。ちょっと切ないな、なんて思っていたら“名前、また後で、ね”と、大きな手がポンポンと頭を撫でる
「もー!そんなに撫でたら縮む!」
「俺よりも小さいんだから今更だろ」
「ひどーい!」
「ははっ、またな。待ってて」
笑った顔が脳裏に焼き付いて離れない。私とリエーフくんは幼なじみって言う間柄で、昔はリーちゃんとか呼んでいたのにいつの間にか格好良くなったリエーフくんにリーちゃんとかあだ名を付けるのが恥ずかしくなって、名前もろくに呼べなくなった
「お待たせ」
部室前で待っていれば、巨神兵がやってくる。リエーフくんにはちょっと低いドアをくぐって私の元にやってくるリエーフくんは本当にかっこいい男の子になっちゃったなぁなんて思って寂しくもあった
「名前?」
「うん?」
「帰ろうか」
私の隣にやってくる巨神兵は背が高すぎだから、お兄ちゃんのようにも見える。でも後ろからやってきた山本先輩に“このリア充!”とリエーフくんが絡まれていた。リア充とか、そんな仲じゃないのにな…なりたいけどさ
「…なんてね」
「名前?」
「ううん、行こう?」
そう言ってリエーフくんの手に一瞬だけ触れた。それに気付いてすぐに笑って手を離せば、リエーフくんが不意に手を握ってきた。みんながいる前で、だ
「…え?」
「手、離さないでよ。寂しいでしょ」
それを聞いて顔が赤くなる。それを聞いた山本先輩がまた荒れているが、聞いてる場合じゃなかった
「寂しいって、何それ」
「昔よく、手、繋いだじゃん」
「昔って…いつの話…」
「リエーフくんって呼ぶのも止めて。昔みたいで良いんだよ」
「リ、リーちゃん?」
そう言ってみたらリエーフくんは笑顔になって私に抱きついてきた。何度も言うけど、みんなの前で、だ。でもなんか昔の頃に戻ったみたいで幸せだった
end
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