由孝さんと手を繋いで街中をぶらぶら。クレープ食べたり、プリクラ撮ったり、UFOキャッチャーしたり…本当にデートだ。夢にまで見た付き合うって状態をあたしは少なからず満喫してた
「由孝さん、プリクラ撮るのなれてますね」
「あ、妬いた?」
「全然」
「なーんだ」
そう言ってちょっと拗ねた後、“冗談だよ”って笑って頭を撫でた。あったかい
「後輩がプリクラよく撮ろうって誘ってくるんだよ」
「かわいい後輩さんですね」
「まぁね。それより、はいっ」
そう言って渡されたのはクマのぬいぐるみのストラップ。さっきUFOキャッチャーで取ろうと思って取れなくて断念したやつだった
「これ…」
「欲しがってたでしょ?あげるよ」
いつの間に取ったの、とかもうわかんなかったけどとにかく嬉しくて握りしめて“ありがとう”と笑ったら、由孝さんも笑った
PiPiPiPiPi…
2人で笑いあってると突然携帯の着信音が聞こえた。誰のかと思ったら由孝さんので、出た瞬間すごい怒鳴り声が電話越しに聞こえてきた
「ごめん、すぐ戻るから怒らないでよ。はい、じゃあね」
「…何かあったんですか?」
「場所変更、ついて来て」
「あ、もうっ!」
ちょっと焦ったような由孝さんに腕を引かれてついたのは学校の体育館だった
((たぶん由孝さんの通ってる高校だ…))
待っててって言われたけどどうしたらいいかわかんない!帰るにも学校すごい広かったから迷子になるかもしれない
((あーなんでついて来ちゃったんだろう!あたしのばかー!でもデート1日する約束だったしなぁ…))
もやもやする頭を押さえながらしゃがみ込んでいると後ろから背中を叩かれた。見上げると金髪のイケメンがあたしを見てる
「どうしたんすか?大丈夫っすか?」
「あ、あのはい…大丈夫です…って黄瀬涼太ぁぁぁぁぁぁぁ!?」
あたしの絶叫が体育館中に響いたが気にしてられなかった。このイケメン誰かと思ったらモデルの黄瀬涼太だ。何でこんなとこにいるの?いや、まてよく見るんだ。由孝さんと同じ制服着てる…この学校の生徒なんだ。すごい、すごいけど…
「俺のこと知ってるみたいで嬉しいっすよ。ありがとう!」
「あは、あはははー…」
((サインもらうべき?))
びっくりはしたけれどファンって程じゃないんだよね…
「ところで君はどうしてこんなところにいるんすか?海常の生徒じゃないっすね?」
「えと、あのー…」
「詩織ちゃん待った?」
黄瀬さんの後ろから現れた由孝さんを見て少し安心する自分がいた。正直ひとりぼっちは怖かったから…
「詩織ちゃんこいつ。さっき言ってた後輩の黄瀬ー」
「はじめまして…」
「んで黄瀬!こっちが彼女の詩織ちゃん」
「も、森山先輩彼女できたんすか!」
「ち、ちがっ!今日1日デートしてただけです!」
「1日デートって…それで笠松先輩怒ってたんすね。練習サボって…」
え、練習?もしかして部活あったとか?そんなこと一言も言ってなかったし、あたしも由孝さんのこと何にも聞かなかったのはまずかったかなって思ってるけど…
「別に休んだのは俺がナンパしてたからだし、詩織ちゃんは悪くないよ」
「う…」
まるで考えてることをまるで分かってるかのように言い当てられたから返す言葉もない…
「ところで、黄瀬とこれから1on1するけど見てってよ」
「俺練習でたばっかりでたくたくたなんすけどー」
「悪い黄瀬!詩織ちゃんに良い所見せたい!」
そう言うと黄瀬さんは“しょうがないっすね”なんて笑って上着を脱いだ。それからしばらく2人の勝負をみていて、由孝さんのシュートはおもしろいなってことと、バスケ部でバスケが好きなんだなってことがわかった
「詩織ちゃん、まけちゃった」
「…かっこよかったです」
「…黄瀬より?」
「黄瀬さんも素敵ですが、あたしは由孝さんの方が好きです」
目を見てまっすぐ言ったのに、由孝さんは珍しく視線を逸らして“うれしすぎる”と真っ赤な顔で呟くからあたしも笑ったんだ
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