とりあえず森山さんとデートすることになった。繋いだ手が暖かいなぁと思いながらちらりと横に目をやると、すっごい嬉しそうな森山さんが目に入った
「あのー…」
「うん?」
「そんなにあたしとデートするの楽しいですか?」
もう見ただけで滲み出てる幸せオーラに圧倒されながら話を聞けば、森山さんは満面の笑みで“もちろん!”と答えた。嬉しい、嬉しいけれどつい苦笑いをしてしまう
「詩織ちゃんは楽しくないの?」
「え、いや…そう言う訳じゃなくて、なんてゆーか…デートしたことないから…」
自分であんな事言っといてしたことないとかカッコ悪いなぁなんて思っていると、森山さんはさらに嬉しそうな顔をした
「したことないんだ?」
「…そうですけど」
「じゃあ俺が詩織ちゃんの初めての相手だね!」
「…ちょっと言い方やらしくないですか?」
「嬉しいなー!」
「聞いてないし…」
はぁ、とため息をついて隣の森山さんを見たけれど、そんな嬉しそうな顔をされたら何にも言えなくなって、あたしの気持ちもいつしか安心感まで生まれてきた
((あたし単純かな?))
そんな事を考えていると、森山さんが不意に足を止める。何かなと思ったら、森山さんは顔を近づけてきてにっこり笑った
「詩織ちゃん、せっかくのデート何だからもっと楽しくなるようにしよう」
「ど、どうやってですか?」
「デートしてる間は俺のこと、恋人だと思って欲しいな」
“だから森山さんじゃなくて由孝って呼んでよ”なんて笑う森山さんはかっこよくてどきりとした
「よ、よしたか、さん」
「うん、今はそれでもいいかな…じゃあデートスタート!」
「わっ!」
由孝さんに引っ張られて駆け足になりながら街中をうろちょろ。なんだか楽しくなってきて、自然と笑えるようになってきた
((楽しいデートになーれ…))
そんな事を思っているあたしはやっぱり単純かしら?
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