「好きです」
街中での突然の告白。しばらく時間が停止して、肩に掛かっていた鞄がずり落ちた。相手は全然知らない人。てゆーか同じ学校でもないし、見たことない顔だった
「は、はぁ…」
思わず呆れた声が出てしまったが、相手は気にも止めずに“君かわいいね”なんて言ってくる。チャラい。見た目真面目そうなのにチャラい。あれか、巷で噂のロールキャベツ男子ってやつだろうか…
「あの、どちら様でしょうか?」
「森山由孝」
「え?」
「森山由孝って言うの。海常高校3年だよ」
海常高校って近くにあるでっかい高校だ。てゆーか高校生!?接点無さすぎて焦る。いったいあたしをいつ見たんだ?あたし中学生だよ!?JCだよ!?ちらっと顔を見れば“これからデートしませんか!”なんて申し出までされた。話がいつの間にかどんどん進んでいる。ヤバい
「あの…デートの前に聞きたいことが…」
「うん、何?」
「なんであたしなんですか?何か接点が…」
「街に出たとき君が一番かわいくて運命感じたからだよ」
「はい!?」
「一目惚れです」
照れたように言われたけど訳が分からない。つまりナンパですか?そうなんですか?
「とりあえず、デートしてください」
そう言って森山さんに頭を下げられたら周りの人がざわざわしだした。街中でなんつーことしてくれんだこの高校生!とりあえず人気の少ないところに移動する羽目になったけど、今思えばすでにこの時点で森山さんの罠にはまっていた気がする
「名前教えて」
「田中詩織ですけど…」
「詩織ちゃんかー名前もかわいいね」
とりあえず森山さんの第一印象は変な人で決まりだった
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