狂意



あなたのことが好きで、好きで好きで…もうどうにかなりそうで。いっそ殺して欲しいと何度思ったことだろう。ハサミを喉に近づけて目をつぶれば、手を覆われた。征十郎様だ


「蓮美、何をしているんだい?」

「あなたが好きすぎて辛いからいっそ楽になろうかと…」

「だめだ。それは許さない」


“君は僕にじわじわ殺されるんだ”

そう言ってハサミを取り上げであたしき口付けする征十郎さま。唇の感触が全身に回って、感電死しそうだ


「まずは口付けで感電死。それから抱きしめて肺を犯す」

「せい、じゅーろー…さま」

「蓮美が息を引き取ったら目をえぐり取ってホルマリン漬けに、体は剥製にして飾ってあげよう」


“離れるなんて許さないよ”と、再び抱き締められて窒息死。ああ、あたしは何回死んだら良いのだろうか。でも全て征十郎さまに殺されるんだ。なんて幸せ、なんて幸福


「ずっとずっと愛しているよ蓮美」

「あたしもお慕い申し上げております」

「じゃあ自殺なんて止めるんだ。君の綺麗な体を傷つけたくない」

「はい、征十郎様」

「でも…僕が好きすぎて死にたいと言うのは可愛かったな」


“流石僕の蓮美だ”と頭を撫でて下さる征十郎さまが愛おしくて目がとろんとしてくる。あぁ、征十郎様。お慕い申し上げております。どうしたらもっともっとこの気持ちが伝わるでしょうか?


「十分伝わっているよ」

「足りません」

「そうか、なら…足りるまで僕を食べると良い」


かり、指をかんだら赤が溢れ出した。征十郎様は体液すら美しい。その赤をもっと体に欲しくて夢中で噛みついた。征十郎様は笑っていた







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