出逢いはふとした瞬間に




「黒子、くん?」


名前を呼ばれてはっとして上を見上げれば、そこには女の子が立っていました。普段から声をかけられることのない僕はなんだか不思議な気持ちになってその子を見ていると本を差し出されました


「この本、黒子くんが借りたよね。図書室に忘れていたよ」

「あ、ありがとうございます…えっと」

「…レイナ」

「はい?」

「岡本レイナだよ」


ふわりと笑った岡本さんに僕は釘付けになりました。見たことのない、幸せそうでこっちまであたたかくなる不思議な笑顔、僕は去っていく岡本さんの姿をずっと見続けていました。それからと言うもの、寝ても覚めても岡本さんが忘れられなくて、いつも追いかけていました。分かったことは同じクラスで図書委員会に入っていて、僕と同じで目立たない部類の人で、よく気がつく性格で、いつもクラスのために動いていて、たまに見せる笑顔がすっごく眩しいことです

((素敵です、岡本さん))

おっとりしていて優しい岡本さんは、自分の意見を主張する事なく、いつもにこにこ笑っていました。疲れないのかな、と心配もします。あの日岡本さんに話しかけられてから会いたくて毎日通うようになった図書室、話すことは無くても会うといつも岡本さんは笑ってくれました


「黒子くん」


ある日、いつものように図書室にいくと、岡本さんに話しかけられました。“どうしたんですか?”と震えそうな声で聞き返せばいつもの笑顔で近づいてきました


「いつも来てくれるね。本、好きなの?」

「はい…まぁ、一応」

「あたしも好きで図書委員会に入ったの。良かったらオススメの本教えて?」


そう笑っていう岡本さん。正直チャンスだと思いました。だから僕はすかさず“オススメ紹介します。今日一緒に本屋いきませんか?”と放課後デートに誘いました


「喜んで!」


眩しい笑顔で岡本さんは笑いました。だから僕もいつの間にか頬が緩んで笑っていたんです

愛おしい愛おしいレイナさん。これからどうなるのか分からないけれど、今が幸せでいっぱいだったあの頃です







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