大好きなあなたへ



あなたが笑ってるところを見るのが、好きでした

あなたが泣いていると、胸が苦しくなりました

どんな顔も、どんな姿も忘れなれそうに無いくらい脳裏に焼き付いて、鮮明に覚えています

レイナさん、あなたは今どこですか…?


バスケットの練習で騒がしい体育館、ちらりと横目をやると隣には監督、厳しい目で選手を見ています。そんな監督との間に感じる君の面影、長い髪と細い体、一生懸命に応援する仕草、手を伸ばせば“どうしたの、テツくん”と笑って手を伸ばしてくれました


「どうしたの、黒子くん?」


レイナさんの手を取ろうとした瞬間、映ったのは監督の顔で、思わずきょとんとしてしまいました。その瞬間、淡い光と共に消えてしまったレイナさん。伸ばしたその手を握りしめ、引っ込めても、掴んだのは空虚でした


「疲れてるの?」

「いえ、大丈夫です」

「顔が青いわよ」

「…そんな、監督…タオル取ってきます」

「あ、ちょっと!」


監督の話も聞かず、更衣室に足を進める。ロッカーを開けて取り出した携帯電話、増えない着信履歴とメール…それを見て寂しさがこみ上げて泣きそうになります

((みんなは辛くないのでしょうか?))

レイナさんと一緒にいた期間は僕に比べたらみんな短いけれど、仲間…でした。そんな仲間が居なくなったのにみんな上手に思い出に変えているからすごいなぁと思います

((僕にはできません))

だってまだ隣でレイナさんが笑っています。僕に手を伸ばして、囁いて、“大好き”と照れて抱きついてきますっ!だから僕も手を伸ばすんだ


「レイナさん…っ」


手を伸ばした瞬間、あなたは窓の外に吸い込まれて消えてしまいました。追いかけて触れようとしても、窓に当たって硝子の冷たさで現実に戻されるんです


「置いていかないでください、レイナさん」


泣き声で呟いたらあなたはまた笑いました







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