君に近づきたいから


「名字ちゃんっ」

「あ、桑田くん!」


キッチンでジュースの準備をしていた名字ちゃんを呼べば、笑顔で対応してくれた。今日もかわいい名字ちゃん、つか、俺もたまたまキッチンに行ったら名字ちゃんがいて、もうテンション超上がったっつーか、俺、ラッキーって思った


「あ、あのさ、名字ちゃん」

「うん?」

「面白いDVDあるんだけど見ない?つーか部屋来ない?」


ダメ元で名字ちゃんを部屋に誘ってみた。すると名字ちゃんはきょとんとした後、きらきら目を輝かせて“え!DVD!?”なんて食いついてきた。やべ、ラッキー!


「そうそう!どう?」

「わー!丁度退屈してたの!ありがとう桑田くん!」


そう言って、ジュース片手に俺に着いてくる名字ちゃん…なんて不用心なんだ。あ、あぶねーよ、名字ちゃん…俺でよかったね!他の奴らだったら名字ちゃん食われるって…特に葉隠とか葉隠とか葉隠とか…!そんな事を思いながら、部屋に招き入れる。好きな子を部屋に入れるとかマジで本当に襲いたくなるけど、ここはぐっと我慢してDVDレコーダーにDVDをセットした


「楽しみー!」


無邪気にはしゃぐ名字ちゃんの隣に座るだけでドキドキする。でもボロを出さないように、紳士気取って笑顔を向けた。DVDが進んでしばらくたって異変は起きた。そして気づいた。間違えてホラー映画を入れたことを


「く、桑田くん…これ…」

「わりっ、DVD間違えたみたい!」

「もー…きゃー!」

「え?」


DVDを消そうとした瞬間、恐怖映像が映ったらしく名字ちゃんが抱きついてきた。ちょ、柔らかい感触が!てか名字ちゃん怖がってる!早く消さなきゃやべー!なんて色々考えて焦りながらもなんとかテレビを消した


「わりーわりー…ごめん、な?」


未だに震えている名字ちゃんの背中をさすりながら謝れば涙目の名字ちゃんが顔を上げた。その時だった、唇になんか柔らかい感触があったのは。互いに目があって再び名字ちゃんはきょとんとしている。その後、唇に違和感があったのに気付いたのか、唇に触れた後、顔を真っ赤にさせた


「あの、その…あたし…」

「…名字ちゃん?」

「ご、ごめんなさい」


抱きついていたことも気付いたのか体を離して後ずさる名字ちゃん、それから“ごめんなさいっ!”と言って部屋から出て行った


「…やっちまった」


静かに俺は呟いて、座った





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