君をずっと見ていたくて


「あ゙ー…つかれた」


委員長にやっと解放された時には夕暮れで、教室に忘れ物をしたと思って取りに行けば、案の定教室は真っ暗。べ、別に怖くなんかねーけど、早く食堂行ってみんなと合流してーっつか、名字ちゃんがマジ心配。色々と。なんて思いながら中に入れば“ん…”なんて声がした。てか教室の中心にある小さな黒い影…一体なんだよ、脅かすんじゃねーよ。なんて思いながら、勇気を振り絞ってそーっと近づけばそれは名字ちゃんだった


「え、お…あ…名字ちゃん?」


何でいんの!?とかまさか俺のこと待っててくれた!?とか色々思考が頭の中で飛び交ったけど、とりあえず声をかけてみた。寝てる。起きない。つーか寝顔かわいすぎんだろ。癒し系、マジ癒し系


「名字ちゃーん」


そっと体に触れて揺すってみたけれど、小さな唸り声と寝息が聞こえただけで起きる気配が無い。変化無し!さて、どうすっかなー…このままにしておくわけにもいかないし、なんて思いながらそっとジャケットを脱いで掛けてあげた。するとどうだろう、丸まるようにジャケットの裾をつかんで再び寝息を立てる名字ちゃん。ぶっちゃけ一瞬起きたって思ったけど違うらしい


「名字ちゃんマジで起きてよ…」

「桑田、くん」

「名字ちゃん?」


起きたと思って顔を上げたら、ジャケットにくるまって幸せそうな顔をする名字ちゃんが見えた。愛くるしい寝顔、潤んだ唇、柔らかい頬…やべーだろ、これ


「名字ちゃん、起きねーと俺、襲いそうだわ」


返事が無い名字ちゃんの頬にそっとキスした。好きだ、愛してる。伝えられたらいーのに。でもな、俺、柄にもなくこえーんだって。名字ちゃんに嫌われるのこえーの。どうしよう。なんて思っていた矢先だった。“んん…く、わた…くん?”なんて名字ちゃんの瞳が開いた


「おはよ」

「あたし寝てたの?」

「まー…ぐっすり?」

「あ、ジャケット。ありがとう!」


寒くない?なんて俺に着せてくれる名字ちゃんは新妻を想像させてヤバかった。その後食堂まで2人で色んな話をしたっつーかほとんど俺が話してたけど。始終笑ってくれる名字ちゃん。やっぱり大好きだぜ。キスしたのは俺だけの秘密だ






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