君を見てるとハラハラする
「おい」
「んー?なあに?」
委員長主催のもと、みんなでテスト勉強中、大和田が名字ちゃんを呼んだ。それに笑顔で対応する名字ちゃん
「ここ、どうやるんだ?」
「あ、ここはね…」
どうやら分からない所を聞いているらしい。そんなの委員長に聞けよなー…なんて思いながら様子を伺えば、ずいっと近づいた名字ちゃん。近い、近すぎんだろ。距離が。目と鼻の先の距離に大和田も気付いていない。くあああああ羨ましい!
「桑田くん!聞いているのかね?」
「へ?あ?何委員長」
「全く…」
“もう一度説明するぞ”なんて委員長が再び教科書に視線を落とした。なんで大和田が名字ちゃんで俺が委員長なんだ。普通逆だろ。まぁ、まだ付き合ってるわけじゃないから何も言えねーけどな!なんて逆ギレ混じりに委員長の話を一応聞けば“名字っちー”なんて声がする。見なくても分かる。葉隠だ
「なあに?葉隠くん」
「ここ採点して欲しいんだべ」
「いいよ!」
ニコッと天使の笑みを浮かべた名字ちゃんの隣で大和田が不機嫌そうに“俺のも見てくれよな”なんて言っている。なんで不機嫌そうなんだよ!不機嫌なのは俺だ!なんて思っていれば珍しく近寄ってきたのは十神だった
「チッ、貴様等うるさいぞ。採点なら俺がしてやる。葉隠」
「えー俺は名字っちに…」
「文句あるのか?」
「な、無いべ!」
「十神くんありがとう!」
再び笑う名字ちゃんを見た十神。すぐに“フン…”とそっぽを向いたけどさ、耳、赤くなってたの俺は見逃さなかったからな?お前も狙ってんのかよ!ふざけんな!
「桑田くん!」
「え?ごめん、今それどころじゃ…委員長?」
「桑田くんには集中力が足りないようだな。これはみっちり集中出来る場所でした方が良さそうだ」
「へ?」
「さあ!僕の部屋に行くぞ!」
そう言って連れ去られる俺を見てくすくす笑う名字ちゃん。見てるなら助けてくれ。つーかこれだと名字ちゃん救えなくね?見れなくね?
「い、いやだああああ!」
俺の叫びも虚しく、やる気を出した委員長には逆らえず、その後みっちり大嫌いな勉強漬けにされた
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