部活に何時も1番乗りで来るはずの笠松先輩が来なくて探しに行くと何やら教室で声がした。覗いてみると笠松先輩と美晴先輩だった
((なんか揉めてるみたいっスねー))
なんて呑気なことを考えてはみるものの、美晴先輩の顔を見ると胸が痛む。先日先輩に隙をついて告白はしたものの、あのあと…
『ごめん、離して』
『え…』
『励まそうとしてくれてるんでしょ?ごめんねー気を使わせちゃって』
『な、ちがっ…!』
『黄瀬くんにはもっとお似合いの女の子がいるよ!あたしなんかよりさ!』
『そんなことっ』
『ほら、もうあたし元気だから!だからありがとう』
そう言って先輩は俺から離れていった
((あんな答えじゃ全然俺、納得出来ねーっスよ。美晴先輩))
そんなことを思っていると美晴先輩が笠松先輩の腕をつかんだ。話し声がよく聞こえない
「なんで、なんでなの?」
「美晴…ごめん」
「謝って欲しいんじゃないのよ!」
「ごめん」
「ばかっ、お兄ちゃん!」
そう言って美晴先輩は笠松先輩に抱きついた。美晴先輩また泣いてる。あぁ、やっぱりそうだったんだ…なんとなく分かってた。美晴先輩が笠松先輩を好きなのは知ってる幼なじみを超えた感情があるのも知ってた。知ってたけどこうやって目の当たりにすると辛いもんっすね。大好きな人が違う人の胸の中にいるのを見るなんて…
「美晴は俺の前だと泣き虫だな」
「…うるさい」
「いつものお姉様節はどこ行ったんだよ」
「…うるさいよ」
「しょうがねぇな」
そう言って笠松先輩もなんだか幸せそうな、愛おしい様子で美晴先輩を抱き締めていた
((俺の入る隙間なんかねーって話っスか…))
でも、それでも美晴先輩を諦めるなんてこと出来なくて、俺は追いかけ続けて遂に過ちを犯したんだ
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