好みなんです、萌えるんです

珍しく委員会も補習も学園長先生の変な思いつき行事もない休み。はちと2人っきりで部屋でごろごろするのは楽しいけど…なんだかおかしい。ちなみに何がおかしいかと言うと自分の体がおかしいのだ。あつい、と言うよりは火照ってると言うべきなのか…きっと原因は朝っぱらからえろーい夢を見たからなんだろうけど、ものすごくむらむらする

「はちー…お願いがあるの」
「んー」

テレビと向かい合ってぴこぴことコントローラーを動かしているはちはこっちを見向きもせず、生返事だけが返ってきた

「はちーDVDみたい」
「なんのー」
「AV」

そう言ってすぐにはちは硬直してコントローラーを落とし、テレビ画面上には【GAME OVER】の文字が映る

「おいー、負けたよ?」
「…なんでいきなり」
「むらむらするから」
「むらむらするって…」
「朝、ヤる夢みたの。だからAVが見たい」
「繋がんなくね?」

繋がろうがなんだろうが俺はとにかくビデオがみたいんだよと、話せばはちは諦めたのかベッドの下から雑誌やらDVDやらを出してきた

「これで全部。なんか気に入ったのある?」
「お前隠し場所ベッドの下ってベタすぎだよ。中学生か」
「うるせーよ!」
「はいはい、ごめんね」

はちに謝って出されたDVDの山から1つ取り出してDVDデッキに入れた

「何にしたの?」
「わからん。直感で入れた」
「…お前もし熟女だったらどうするんだよ」
「はち熟女好きなのか?」
「たとえ話!」

分かってたけどさ、はちに限って変なDVDは持ってないはずだから適当に選んだんじゃん
AVが始まると何だかんだではちも乗り気みたいで、いつの間にか2人で画面にくにづけだった。ところでいくつか見て気がついたことがある

「はち、お前のDVDさぁ胸でかい子ばっかりなんだけど…」
「だって大きい方がいいじゃん」
「そうか?俺はあんまりない方が好きだけど…」

そうやって言うとはちはなぜか青ざめた顔をした。全く、好みなんだから別に良いじゃないか

「裕飛はスレンダーが好きなわけ?」
「あーそうかも…脚とか腕とかたまんないよなー」
「まぁ、確かに…ね」
「俺パーツモデルと結婚したいな」
「パーツモデルね…」
「よし、三郎にAV借りにいくぞ!」
「だから脈絡無しに話進めんなよ!」

何か後ろで騒いでるはちの手を引っ張って、隣の三郎と雷蔵の部屋に向かった

「三郎!AV貸して!」

三郎達の部屋の扉を開けると同時に叫べばベッドに寝ていた2人が振り返った。よく見ればい組の豆腐小僧も一緒だ

「…裕飛?」
「兵助も一緒かー…で、三郎AV貸してくれよ」
「朝からなにを言ってるの?」
「雷蔵、そんな怖い顔しないで…」
「裕飛なにがいいんだ?【団地妻シリーズ】か?」
「三郎も何普通にDVD出してるの?しかも僕の棚から」

三郎、AVいつもどこに隠してあるんだろうと思ったらそんなところにあったのか…やっぱりはちと違って簡単に分からないようなところにある

「選んでいい?」
「おー好きなのを持っておいき」
「じゃあこの部屋で見る」
「やだよ!裕飛もはちも部屋に帰って見てよ」
「なんで?雷蔵も一緒に見ようよ」
「裕飛は恥じらいは無いの!?兵助も何とか言ってよ…」
「俺、この【ぶっかけ☆性乳委淫会】が良いと思う」
「お!さすがインテリい組の久々知兵助くん!それは私のいち押しだ」
「てか兵助、ここに豆乳まみれって書いてあるよ!」
「三郎、この子のバストは?」
「Gカップだ」
「よし!それ見ようぜ!」

なんだかんだで盛り上がってるはちの声と共に三郎も兵助もテレビの前に集まった

「最低だよ…」
「良いじゃんたまには。だって雷蔵もAV見るでしょ?」
「見ません!」

いや、雷蔵さん。指の間からあなたの瞳が見えるので目隠しの意味がまるでないんですけど…
((雷蔵はむっつりなの?))
なんて迂闊に言うときっと怒られるから黙って置くことにした。それにしても三郎はDVDの種類が豊富だと思ったのに、やっぱり胸の大きい子ばっかりだなぁ…

「三郎ってさ、やっぱりはちと一緒で胸の大きい方がいいの?」
「大きくないと揉み応えがないだろう?裕飛、どうして私にそんなことを聞くんだ」
「裕飛は小さいのが好みなんだってさ」
「本当か!?」
「あぁ、無ければ無いほど萌えるな」
「…お前本当に男か?」
「三郎、すげー失礼なんだけど」
「だって、おっぱいは男の浪漫だろ!?」

いや、俺はそれよりも脚とか腕とか鎖骨の方が好きだ!と言ったら隣にいた兵助に“裕飛ってマニアなんだな”ってはちと同じようなこと言われた

「じゃあ兵助はどれくらいが好きなんだよ」
「そうだなぁ…それはやっぱり女の子の体を象徴するものだからあった方が良いと思う」
「FとかGぐらい?」
「いや、Dあれば十分だ」
「それでも俺にとってはまだ大きいんだけど…」
「裕飛は美乳フェチなんだな」
「そうだな。微乳フェチだよ!」
「…今兵助と裕飛が言った意味絶対違うよな」
「うん」

目の端で三郎とはちがなんか言ったのも引っかかったけど、それよりも兵助の後ろで顔を真っ赤にしている雷蔵はもっと気になったから隣に移動して好みを聞いた

「え…僕!?」
「うん、教えて」
「裕飛のえっち…」
「雷蔵もなんだかんだで見てるんだから共犯だよ。それにこのAV、半分雷蔵のらしいね」
「三郎ー!」
「雷蔵の、清純なのが多いな」
「雷蔵らしいな」
「そ、そう?」

兵助とはちがそう言うと雷蔵はちょっとだけうれしそうな顔をした。いや、褒めてないよ。でも気を良くした雷蔵はにこにこしながら俺の質問に答えてくれた

「僕も胸はあった方が良いと思うよ」
「そう?」
「裕飛、雷蔵は結構巨乳好きなんだよ」
「三郎は黙ってて!」
「へぇ…」

雷蔵も結局は男子高校生なんだな

「ところで裕飛、なんで私のところにDVDを借りに来たんだい?」
「はちのを借りて見てたんだけど胸でかいのばっかりだったから、三郎なら小さいのもあるかなーって思ってさ」

なんか三郎はAV専用のレンタルビデオ店が経営できそうなくらい持ってるイメージがあるんだよね、と話すと苦笑いされた

「裕飛は私をなんだと思っているんだい?」
「「変態」」
「…なんでそこで雷蔵も言うんだ」
「雷蔵も変態だと思ってるんだよ。ねー」
「そうだね。三郎、鉢屋変態に改名すれば良いんじゃないかな?」

“僕まだDVDを全部僕の棚に隠したの許してないんだから”と言って笑っている雷蔵はやっぱり怖いです

「でも、裕飛だってAVの1つや2つ持っているだろう?」
「ないよ」
「1つも?」
「うん」
「健全な男子高校生たるものAVの1つや2つあるもんじゃないのか!?」
「ごめん、兵助。俺…ビデオは見ない主義なんだよね」
「じゃあなんで私に借りに来たんだ…」
「見ない主義だが見たくなるときもあるんだ」
「朝っぱらからエロい夢みたんだってさ」

俺の拙い説明にはちが所々解釈をいれてくれる。“まるで中在家先輩と同じ同時通訳みたいだね”と雷蔵が笑った

「でもなんで見ないんだ?」
「目の前のエロスと画面の中のエロスだったら三郎はもちろん目の前のエロスを選ぶだろ?」
「あぁ、私でなくても選ぶだろ」
「だから」
「…裕飛かっこいい」
「ありがとう。実はこの前テレビでガ●トがそう言っていた」
「受け売り!?」

格好良かったんだもん。つい、使いたくなった。そのあと昼過ぎまでずっと5人で話をしていて、午前中出掛けて戻ってきた勘ちゃんが話を聞いて部屋の前で真っ赤になっていることに気がつかなかった

「そう言えば裕飛、噂で聞いたんだけど食満先輩は貧乳が好みらしいよ」
「はち本当に!?」

((今度委員会で聞いてみよ…))



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