「ふぁあ…」
学校が休みな今日。俺は絶賛、はちの膝の上でごろごろとお昼寝中。はちは真剣にRPGをしていた。今ボス戦だ
「裕飛、足痛い…」
「…はち、ガードしないと負けるよ?」
「え、ああ…」
ぽちぽち、ぴこぴこと音がするテレビ画面を見ていてもとても暇だ。なーんかおもしろいことないかなって思ってはちの腹に抱きついたら、びくって一瞬なった後、またぽちぽち、ぴこぴこと音が聞こえた
((ちったあ、構えよう))
なんて女々しいことを考えながら、体を起こして、はちの顔を見た。綺麗な顔、キスしてぇ…なんて思って、ほっぺにちゅっとしたら、テレビ画面からちゅどーんって音が聞こえた。そして画面に【GAME OVER】の文字が浮かんでいる
「もう、裕飛何すんだ」
「だってはちが構ってくれないから」
「…暇なんですね」
「まぁね」
「しょうがないな…」
そう言って笑った後、はちは“何したいんだ?”と聞いてきた。実はしたいことなんかないんだけれども、暇で暇でしょうがなかった
「暇だけど、やりたいことはないな」
「あのなぁ…」
「だって憂鬱だしな」
「憂鬱なのか」
「暇すぎて」
「…遊びにでも行くか?」
「気分じゃない」
「ゲームするか?」
「やりたくない」
「じゃあどうしような」
“うーん”なんて真剣に考えるはち。ゲーム邪魔したのにも関わらず俺のために真剣に考えてくれるはちが嬉しくて思わず抱きついた。いきなりだったせいか珍しく受け止めきれなかったはちは後ろへと倒れた。だから俺が押し倒す形になった
「いってー…どうした裕飛」
「はち好きよー?」
「なんで疑問系?」
くすくすと笑うはちがかわいくて鼻にキスすれば、びっくりした後また笑って抱き締めてくれた。大きなはちの胸は安心する
「このまま寝れそう」
「じゃあ寝るか!」
「おー?」
「…いや?」
「嫌じゃないよ」
一緒に寝るとか久しぶり過ぎて少し恥ずかしい。おかしいな、団蔵とは一緒に寝ても何ともないのにな。あの冬のことを思い出して顔が熱くなるのを感じていれば、はちが俺を横におろして腕枕をしてくれた。まじ彼女
「…彼女か!」
「あー彼女がいたらこんな感じなんだろうな」
その言葉にどきりとする。はちに彼女が出来たら俺はどうすればいいか分かんなかったからだ
((もうこんな事できないな))
団蔵にも彼女ができたらひっついていられないように、はちにも甘えてられなくなるんだなと思うと寂しくなった
((できたらこのままで…))
そう思うのは俺のわがままだなと思った
((はち、どこにも行くなよ?))
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