三郎の告白から2、3日が経った。相変わらずばかやってるけど、気持ちはもやもやしたもので、同室のはちの顔すらまともに見れなかったりする
「裕飛」
「なーにー?」
「最近変じゃないか?」
はちと2人っきりの部屋。シチュエーション的に前のことを思い出しそうだったからゲームをして気を紛らわそうとしてる最中にはちからそんな言葉を投げかけられた。正直、どきりとした。図星だからだ
「そんなこと…」
「また、寂しいのか?」
頼むから俺には嘘をつかないでくれ、そう言うからいつの間にか涙が溢れてきて、気がついたらはちに抱きついていた
「はち、ざえも…ん」
「うん、どうした裕飛」
「言えない。言えないけど、こうさしてくれ」
「いいよ」
ぎゅっと抱き締めてくれるはちは優しくて涙が溢れてきて止まらなかった。あぁ、みっともなさすぎ。かっこ悪い。でも泣くことしかできない今の俺は3年前と一緒で、何も変わってないんだなって思った
「はち、あのな」
「うん」
「大好きだ」
涙を拭いて笑いかけるとはちからキスしてくれた。唇が当たる額が妙にこそばゆい。はちも団蔵もいつもこんな気持ちだったんだろうか?
((かと言って止めはしないけど))
しばらくたったある日、三郎と教室で2人っきりになった。珍しいことでは無いけれど、夕焼けの教室で2人っきりは妙に違和感がある
「三郎」
話しかけたのは俺から。気持ちにけりを付けるために言わなければならない
「お前に告白されてから俺、変だよ」
「あぁ、知ってる」
「意識、してるかもしれない」
「それって…」
「でもっ!俺はお前とそんな関係になるよりも今はまだ楽しんでたいんだ」
“正直、好きとかわからない”
そう呟くと、少しの沈黙の後、三郎は俺に近づいてきて抱きしめた
「分かるかい、裕飛。私とてもどきどきしているよ」
「うん」
「こんなにも裕飛が好きなんだ」
「うん」
「だが、私も不安そうにしている裕飛を見ると悲しくなるな」
“だからいつものように笑っておくれ”
そう言って三郎は笑った。だから俺も笑うことにした。これが正しい答えなのかは分からない。けれども三郎は大事な、大事な友達だから、いつものようにばかやってみんなで楽しくいたいんだ
((それが俺のわがままだってことも分かっているけれど))
prev next