天下分け目の中間試験期間

学園長先生主催の遠足も無事に終わり、陽気で何もなく、とても天気の良い、洗濯日和が続く今日この頃…なのに学園一体は曇り空。理由は――――…

「はい、問1…y=2x+5ax+bの方程式を解き、aとbを求めなさい。ただし(a<b)とする…ってはちまた同じ間違いしてるから」
「えー…裕飛どうするんだっけ?」
「あー?さっきも説明したのに…しょうがない。もう1度説明するからな?」

部屋の真ん中に置かれたテーブルに参考書やプリントを広げて、頭をがしがしとかきながら必死に考えるはちの隣でさっきと同じ問題を1から教えている俺。その周りにはいつもの面子の姿もある。現在この学園は地獄のテスト期間。いつもなら適当にして終わらせるのだが、今回のテストでもしその組で1つでも赤点を取ったら休みを返上で補習授業をすると言う、青春真っ盛りで健全な学生の俺達には恐ろしい罰が待っているためみんな血眼になって勉強をしている

「――…んで、a=1でb=3になるわけ」
「あーなるほどなッ!!」
「はち本当にわかった?」
「おぅ!ありがとうな裕飛」
「お礼はいいから、分かったんなら次の問題しろよ」

はちに次の問題に取りかからせて自分も足元に広げて置いた英語の教科書に目を落とす。教科書の隅から隅までびっしりと書かれた英文を見て嫌気がさした

「雷蔵ー…ここ教えて」
「いいよ。ノートかして?」

はちに数学を教える合間に解いた英語の問題集は清々しいほど間違いだらけ。丸なんてほとんどない。いくら勉強したって、雷蔵や兵助に教えてもらったって、この英語と言う教科書だけは成績の底辺を進み続けている

「裕飛わかった?」
「ごめん、さっぱり」
「裕飛、本当に英語苦手だよね」
「その他の教科は成績上位なのにね」
「三郎より下だけどな」

雷蔵に説明を受ける途中に兵助と勘ちゃんに話しかけられて謙虚に返せば俺のベッドに寝転がっている三郎が鼻をふふんと鳴らした。つかなんで三郎は人のベッドの上を陣取ってんだよ

「三郎は器用だから」
「前回のテストも学年1位だったけ?」
「まぁ、あんまり自信は無かったんだけどね」
「やっぱり三郎頭いいよな!」
「「うん、腹立つくらいね」」

はちの素直な感想をい組の秀才コンビが声をそろえて返す。でも兵助も勘ちゃんも1、2点の差だから俺やはちとは戦ってる土俵が違うなと思ったけれど、そんなこと言ったら“同情は必要ない”ってインテリい組の反感を買ってしまうことを長年の生活で学習しているので何も言わず雷蔵の話を聞いていた

「やっぱり雷蔵頭いいよね」
「そんなことないよ。英語と国語だけだし…それにその2つは図書委員会で色々な本に触れるから自然にって感じだし」

何もしないで自然に頭が良くなっていくだなんてそれほど素晴らしいことはないよなと思いながら雷蔵の隣で懸命に問題を解きなおしていたら、さっきまではちを見ていた三郎がとなりにやって来た

「はち、教えがいがなくてやる気が失せてしまったよ。裕飛よくあんなに真剣に教えられたね」
「三郎ひどッ!」
「いつもそうだから慣れただけ」
「…裕飛」
「はち、泣く暇あったら勉強してくれ」
「裕飛珍しく厳しいね」

兵助が珍しいものを見るように言うけれど、俺…今回はちょっと気合い入ってるから
((休みもかかってるし))

「そう言えば裕飛達の部屋に久しぶりに来たけど、はっちゃんのところは相変わらずだけど裕飛の場所は何もないんだね」
「確かにな」

急に勘ちゃんがきょろきょろと辺りを見回したと思ったら突拍子も無いことを言い出すので少しびっくりした。確かに兵助と勘ちゃんは組が違うから会える時間は限られるし、集まったとしても雷蔵と三郎の部屋に集まるからすぐ隣なのに2人を部屋に入れた記憶は数えるほどしかない

「はちの動物で場所取ってるから何にもないよ。服とかなら大量にあるけど全部閉まってあるし、何があると思ったの?」
「いや、裕飛のことだから部屋中に弟の写真とかポスターとか飾ってあるのかなーって思ってて…」
「はい?」
「あー普段の行動見てると疑いたくなるのも分かるな。ちなみに俺は団蔵の成長記録とか書かれたアルバムとか大量にある感じするな」
「勘ちゃんも兵助も何言ってるの?そこまでしたら俺がブラコンって事になっちゃうじゃん!」

と、大笑いしながら話たら俺以外のみんなの動きが止まった

「え、裕飛…それ、笑うところかい?」
「三郎何言ってんの?」

いまだに固まっているみんなを不思議に思いながら、気にせず問題に取り組みまた雷蔵に聞こうとした瞬間、三郎に止められた

「三郎、なんか用?」
「英語聞くなら雷蔵より勘右衛門に聞いた方が良いんじゃないか?」
「なんで?」
「だって尾浜だから、英語は得意に決まっている。なぁ?」

“なぁ?”って勘ちゃん本人に同意を求めてる場合か。お前怒られるぞ
((勘ちゃんそれ地味に気にしてるんだからな!))


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